「出る杭は打たれる」という諺もあるように、みんなが同調する中で、一人だけ違う意見を持っていたとしても、なかなか言い出しづらいもの。
そして結局、他人の意見に同調してしまう….。本当は別の意見があったのにもかかわらず….。
そしてそれは一部の人のみならず、多くの人間がそのような行動をとってしまいがちです。
同調行動をとってしまう性質を変えることはなかなか難しいですが、実はこれには危険なことあり得ます。
同調行動による危険なこととは、一体どのようなことなのでしょうか。
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実は危険が潜む人の強い意見に同調しやすい傾向について
他人の意見に対して「NO」を言うのはなかなか勇気のいるものです。
少しくらいひっかかることがあっても、まあいいや、できれば同じ意見ということで目立たずにいたい….そんな心理が働いて、足並みをそろえてしまったことは、誰にでも経験があるのではないでしょうか。
このように、自分の意見や信念を曲げて、他人と合わせてしまうことを同調行動といいます。
ポーランド生まれの社会心理学者アッシュは、次のような実験で、同調行動について証明しています。
被験者にA、B、C、Dの4本の線があり、AとDが同じ長さで、B、Cの長さがばらばらとなっている図を見せ、Aと同じ長さの線がどれか、B、C、Dの中から選んでもらいました。
このとき、被験者を一人にした状態で答えを選択させると、正解率は99%でした。
ところが、わざと誤答をするサクラと一緒に選択させた場合、正解率は24%しかなかったのです。
そのサクラが顔見知りの人間の場合、正解率はもっと低くなったそうです。
「長いものには巻かれろ」ということわざがありますが、多くの人は自ら進んで、誰かと合わせていたい、と考えているようです。
このような、他人と同調行動をとりやすい性質を同調性といいます。
もし、周囲の支持を得たいのなら、この同調性に訴えると効果があります。
周囲の様子をじっとうかがっているよりも、先に大きな声で意見を言えば、あなたを中心とした同調行動を誘うことができるでしょう。
ただし、どんな集団や組織の中にも、同調性の低い、いわゆる一匹狼タイプはいるものです。
予想外の反対意見が出る場合もあることを、お忘れなく。
また、同調行動は、度が過ぎると危険なこともあります。
誰かに対する同調行動があまりに強いと、考えや意見が全員一致、つまり集団思考となりやすいのです。
ひとたびこの集団思考に陥ると、それに対して誰かが反対の立場を表明しようとしても、なかなか反対しにくくなってしまいます。
すると、過ちや問題があっても見逃しやすく、そのまま突き進んでしまいがちです。
つまり、ブレーキの効かない車に全員一緒に乗り込んでいるようなもので、失敗するときも全員一緒ということになりかねません。
そこに、集団思考の恐ろしさがあります。
アメリカの心理学者ジャニスは集団思考に陥りやすい傾向として、次のような特徴を挙げました。
1、優秀で団結力のあるグループには楽観論が生じやすい。
2、団結力が強いと、その場の雰囲気を否定しにくく、同調しやすくなる。
3、1のような集団は、危険性が高いにもかかわらず、成果が期待できるというリスキーシフト現象を招きやすい。
4、その一方、大きな成果よりも確実な路線を選ぶコーシャスシフト現象に陥る場合もある。
ジャニスによれば、集団思考の危険にさらされやすいのは、決してあさはかだからではなく、むしろ優秀がゆえの過信が、盲信に変わりやすいのだということです。
この失敗を回避するには、やはり一人ひとりがしっかりと意見を言えるような空気を意識して作っておくことが必要です。
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