「旧約聖書」と「新約聖書」は、どちらも難解な言い回しや、曖昧な表現で書かれている部分が多く、その真意を探るのは容易ではありません。
そのため古来より、 聖書には隠された意味があるはずだ…
という考え方が根強存在するのです。
例えば、3世紀に発生したユダヤ教神秘思想のカバラでは、数秘術という一種の暗号解読法によって
「旧約聖書」を読み解こうとしました。
さて、そんな聖書に秘められた暗号の解読が、20世紀の後半に改めて注目されたことがあります。
1990年代に、ヘブライ大学の数学者リップスが、「旧約聖書」の最初の五書に記された文字を一定の法則に従って読んだところ、広島への原爆投下やケネディ暗殺などの歴史的事件、さらには未来の戦争についても記されているのを発見したと発表したのです。
つまり、「旧約聖書」は予言書だったとリップスは主張し、このことは世界的に話題となりました。
しかし、リップスの発表はすぐさま批判の嵐を浴びることとなります…
批判の主だったものは、「旧約聖書」の最初の五書の文字数は約30万もあり、それだけの数の文字を組み合わせれば、どのような文章でも作ることができるというものだったからです。
ついには、トルストイの「戦争と平和」をリップスと同様の手法で解読し、同じ結果を得たという学者が現われ、この騒動は一段落しました。
けれども、現在でもリップスの説を支持する人も一定数います。
予言書といえば、「新約聖書」の「ヨハネの黙示録」は、まさに予言書として書かれたものである(そうではないという説もありますが…))。
比喩や象徴的表現を多用したその内容は難解で、こちらも古来より様々な解釈がなされてきました。
特に、謎めいているのが、「ここに知恵が必要である。思慮のある者は獣の数字を解くがよい。その数字とは、人間をさすものである。そして、その数字は666である」という一文です。
この666という数字の解釈については、カバラ数秘術によって古代ローマの皇帝ネロを示しているとする説や、悪魔学の理論によって、ソフトという太陽の精霊を指しているのだとする説など、諸説が存在するが、現在に至るまでも明確な解答は出ていないのです。
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