学校における「落ちこぼれ(授業についていけない生徒)」の存在は、大きな教育問題となっています。
落ちこぼれを一人でも減らそうと、努力している先生は少なくありません。
しかし、心理学者のクロンバックによると、先生が教え方を工夫するだけでは落ちこぼれはなくならず、生徒のタイプによって教え方や先生を変える必要があります。これを「適性処遇交互作用」と言います。
たとえば英語を教える場合、得意な生徒には文法訳読式の授業が適しているのに対し、苦手な生徒には会話主体の授業が効果的です。
これを一般化するには、まず生徒を「努力型」「従順型」「離反型」という3タイプに分類します。
次に先生の教え方を「自発型」「秩序型」「恐怖型」に分類した上で、さらに「教え方が上手」、「教え方が下手」に細分化します。
すると、最も生徒の学力を伸ばせるのは、次のような組み合わせとなります。
〇努力型の生徒×自発型で教え方が上手な先生、または秩序型の先生(教え方は問わない)
〇従順型の生徒×自発型で教え方が上手な先生、または秩序型で教え方が上手な先生
〇離反型の生徒×秩序型の先生(教え方は問わない)
逆に、学力が伸びないのは次のような組み合わせです。
●努力型の生徒×恐怖型の先生(教え方は問わない)
●従順型の生徒×自発型で教え方が下手な先生、または恐怖型の先生(教え方は問わない)
●離反型の生徒×自発型の先生、または恐怖型の先生(共に教え方は問わない)
保護者の方は恐怖型の先生に信頼を感じることが多いようですが、このような教え方ではどのタイプの生徒も学力が伸びないことがわかります。
中には「生徒のため」と思い、無理をして恐怖型の教育方針を貫いている先生もいらっしゃるようですが、心理学的に見ると、その努力は間違っているかもしれないのです。
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