文部科学省の調査によると、小・中・高・特別支援学校における「いじめの認知件数」は32万3,808件と、前年度(平成27年度)より9万8,676件増加し、過去最多となったそうです。
しかも、生徒が自殺した後で、 はじめていじめが認知されることも多く、残念ながらこの数字以上にいじめの数は多いのかもしれません。
いじめが生じる原因の一つとして考えられるのが「スケープゴート理論」です。
白いヤギに人間の罪や苦難を背負わせて荒野に放す習慣があった(「旧約聖書」レビ記第一六章)ことに由来するもので、アメリカの人類学者ヘンリーが「家庭の平和は家庭内の一人が犠牲者になることによって成り立っている」と主張しました。
また、ある集団が危機に直面すると、欲求不満を解消しようとして特定の人物が非難や攻撃の対象とされる現象が起きることもあります。
これを「フラストレーション攻撃仮説」と言います。
歴史上、このフラストレーション攻撃仮説によって、たびたび悲劇が起きました。
たとえばナチズムによるユダヤ人迫害(経済破綻の原因が、ユダヤ人の陰謀と宣伝した)やスターリン主義下のトロツキスト(トロツキーを支持する人々)やクラークと呼ばれる富農の弾圧(大量粛清を行なって個人独裁を実施した)などがあります。
学校の場合、スケープゴートに選ばれやすいのは、異なる習慣や趣味などを持っておりクラスに溶け込もうとしない生徒、力が弱く攻撃しやすい生徒などが多いようです。
ただし、これはいじめられる生徒の方に問題があるという意味ではなく、このように周囲が気に入らない、力が弱い等の特徴を「ヴァルネラビリティ(被虐性)」と言います。
一対一でいじめが行なわれているうちは、まだ周囲の生徒が止めることもできますが、いじめる側の人数が増えていくと「集団圧力」が生じて他人と違う態度を取りにくくなり、いじめは次第にエスカレートしていきます。
また、原因が「欲求不満の解消」にある場合は、いじめられていた生徒が違うクラスへ移ったとしても、新たな生徒がいじめの対象になり、いつまで経ってもいじめは収まりません。
この場合、大切なのは原因を取り去ることが大切になってくるのです。
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