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ユダヤ教に関して、どのようなイメージをお持ちですか?
唯一神ヤハウェを神とするユダヤ教…
私たち日本人にはあまり馴染は薄いかもしれませんが、多くの宗派に分かれ、たくさんの人が信仰する宗教です。
ここではユダヤ教の教えと歴史を簡単に説明しましょう。
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ユダヤ教のこれまでの歴史を簡単に振り返る
ユダヤ教は、世界の民族宗教の中でも、最も民族性が強固に意識されている宗教です。
それはなぜでしょうか?…
約2000年の間、国を追われて「離散の民」となったユダヤ民族は、聖典「律法」に従って生きることで民族的結合を図ってきたからです。
したがって、ユダヤ教については、「ある人々は、それはむしろユダヤ道とかユダヤ主義とか呼ばれるべきだと主張する」(高尾利数)、「民族が宗教を生み出したのではなく、宗教が民族を形成したと信じるユダヤ教」(石田友雄)などの見方がなされているのです。
ユダヤ民族の歴史は、旧約聖書に述べられている「神と人間との歴史における出会いの物語」(新共同訳聖書)に求められます。
神はアブラハムとその子孫に祝福を与え、ユダヤ民族は、このアブラハムを「父祖」として神に従ってきました。
そして紀元前13世紀、アブラハムの子孫であるイスラエル人は、モーセの引率によって奴隷生活を強いられていたエジプトを脱出し、シナイの荒野に到着しました。
この地のシナイ山で、モーセは、イスラエルの民を救出した神ヤハウェから「十戒」をはじめとする神の意志を明示した「律法」を教示され、神と契約を結びました。
これがイスラエル人とその直系の子孫であるユダヤ民族の信仰的起源とされています。
その後、イスラエル人はカナン(パレスチナ)に侵入して定着し、紀元前10世紀になってダビデ王の子、ソロモン王によりエルサレムに壮大な神殿がつくられました。
これを中心に築かれたユダヤ王国も、ソロモン王の死後、王位継承をめぐる争いによって南北に分裂します。
北のイスラエル王朝は、アッシリアによって紀元前8世紀に滅ぼされ、南のユダ王朝は紀元前587年、パピロニアの攻撃によって滅亡しました。
そして、バビロニアの捕囚となったユダヤ人は、バビロニアを征服したペルシャ王の寛大な占領政策によって帰国が許されます。
紀元前六世紀、エルサレムに第二神殿を再建し、同5世紀、祭司エズラによって律法朗読と解説を中心とする「会堂(しなごぐ)」の礼拝が確立されました。
この「会堂」は、のちにキリスト教の教会やイスラームのモスクのモデルになったといわれます。
ラピエズラやネヘミアなどによってユダヤ教の基礎固めがなされ、「教師時代」と呼ばれるこの時代は、政情的には不定的で危機的でした。
紀元前3世紀のアレキサンダー王による迫害、紀元前2世紀から紀元前1世紀にかけての王朝復活と自滅、次いでローマの支配と紀元40年のエルサレム神殿の破壊などに直面したからです。
この間にユダヤ民族は世界に分散して、20世紀に至るまで自分たちの国を持つことが叶いませんでした。
この教師時代以後のユダヤ民族の宗教のことを、キリスト教世界ではユダヤ教と呼んでいます。
その後もユダヤ民族は迫害の歴史を歩み続け、この運命に知性と経済活動とを動員して立ち向かったユダヤ民族は、1948年パレスチナで念願のイスラエル国家を誕生させたのです。
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ユダヤ教の教え
ユダヤ教の信仰は、神は唯一の存在であると信ずること、ユダヤ民族はこの神に選ばれた民族であると信ずること、この神の教導された信仰生活に従順であることが唯一の道と信ずること、この根本の教えによって構築されています。
これらの教えの根本義は、神がシナイ山においてモーセに啓示された「十戒」によって教示されています。
神はこれらすべての言葉を告げられた。『わたしは主、あなたの神、あなたをエジプトの国、奴隷の家から導き出した神である。
あなたには、わたしをおいてほかに神があってはならない(第一戒)。
あなたはいかなる像も造ってはならない(第二戒)。上は天にあり、下は地にあり、また地の下の水の中にある、いかなるものの形も造ってはならない。あなたはそれらに向かってひれ伏したり、それらに仕えたりしてはならない。(中略)あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない(第三戒)。
みだりにその名を唱える者を主は罰せずにはおかれない。安息日に心を留め、これを聖別せよ(第四戒)。
六日の間働いて、何であれあなたの仕事をし、七日目は、あなたの神、主の安息日であるから、いかなる仕事もしてはならない。(中略)六日の間に主は天と地と とそこにあるすべてのものを造り、七日目に休まれたから、主は安息日を祝福して聖別されたのである。
あなたの父母を敬え。そうすればあなたは、あなたの神、主が与えられる土地に長く生きることができる(第五戒)。
殺してはならない(第六戒)。
姦淫してはならない(第七戒)。
盗んではならない(第八戒)。
隣人に関して偽証してはならない(第九戒)。
7隣人の家を欲してはならない。隣人の妻、男女の奴隷、牛、ろばなど隣人のものを一切欲してはならない(第十戒)
(出エジプト記)」
これらのユダヤ教の聖典は、紀元前3世紀にはギリシア語に翻訳されて広く読まれ、初期のキリスト教徒の間でも用いられていました。
そして、これらの経緯や聖書の思想を通して、ユダヤ教はキリスト教誕生の母胎となり、イスラムが生まれています。
ユダヤ教徒が毎日ロにする「聞け、イスラエルよ。我らの神、主は唯一の主である。あなたは心を尽くし、魂を尽くし、力を尽くして、あなたの神、主を愛しなさい」(申命記)という祈りは立禱(立って祈ること)と呼ばれており、毎日三度(朝·昼·晩)の祈りでは朝の祈りが最も大切にされています。
毎週金曜日の日没から土曜日の夕刻までは、安息日として一切の世俗的仕事を離れますが、この安息日における会堂での集団の祈りでは、祈禱と共に「律法朗読」がなされます。
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