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長くて寒い冬の季節を乗り越えて、待ちに待った花見の季節がやってきます。
春は暖かくて、無性に外にお出かけしたくなり、気分も最高に良いですよね。
特に日本の国家である桜は短い命ですが、身近な間にも皆さんの心をパッと明るく前向きに照らしてくれます。
毎年決まったお気に入りの場所に花見に行く人、全国の様々な場所をまわって花見を楽しんでいる人。
様々だと思います。
今回は全国の花見の名所、また花見を彩る食の紹介をしましょう。
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桜と日本人
桜は日本の国花です。
桜は日本人がもっとも親しんでいる花で、花見といえば桜を見て楽しむことを指すのが古くからの常識です。
桜の咲くころの行事としては、誰しも入学式を真っ先に思い浮かべるはずですが、桜が満開のころ新学年がはじまるようになったのは、意外と新しいのです。
明治33年(1900年)に制定され、翌年から実施された「小学校令細則」によるものですから、20世紀になってからです。
ついでですが、大学の入学式が四月になったのは大正8年(1919年)です。
最近、東大の秋入学構想が話題になっていますが、日本でも大正の半ばまで大学は9月入学の7月卒業でした。
桜を愛でる歌は『万葉集』にもありますが、しいて名歌を一つ挙げれば、『山家集』にある西行法師の次の一首でしょう。
「願はくは花のもとにて春死なん その如月の望月のころ」
桜見物に吉野山(奈良県南部の山岳地帯のことで、この地で豊臣秀吉が豪華な花見の宴を催したことでも知られる)を訪れた西行は、涅槃会の営まれる満月のころ桜の木の下で死にたいという気持ちをこの歌に込めています。
如月は2月の異称(和風月名)ですが、いったい2月ころに桜が咲くものでしょうか。
桜の開花時期には地域差があり、しかも昔と今では気温の差などがありますが、そうした条件は別として、わかりやすくご説明しましょう。
西行が生きていた12世紀の終わりころの2月15日を現行の太陽暦に換算してみますと、早い年で3月10日、遅い年でも4月8日となります。
この時期に、西行庵のあった吉野山山頂はもとより 終焉の地河内国(かわちのくに)(現·大阪府)の弘川寺あたりに桜の開花を期待するのは無理のようです。
西行は念願どおり、2月16日に他界しましたが、果たして辞世の歌どおり枕辺に桜が咲いていたのでしょうか・・・・・
桜の開花とそれに伴う花見は、地方では農作業に先立つ儀式としての側面も強いのですが、意外にも桜が暦に記載されるのは17世紀の後半です。
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2018年…全国の花見名所と食の楽しみ
桜について、今回はアラカルト風にまとめておきましょう。
ご存じのように桜の開花予想は、染井吉野の標本木をベースにして、毎年3月はじめに気象庁が発表します。
3月下旬に九州地方に上陸した桜前線(同じ日に開花が予想される地域を結ぶ線…
気象庁では「さくらの開花予想の等期日線図」と称している)が日本列島を北上していき、4月下旬には東北地方へ達します。
花の便りが待ち遠しい日々が続き、全国各地で花見が行われますが、桜見物の名所中の名所を、北から南の順に挙げておきましょう。
◇東北地方
●青森県弘前(ひろさき)市 弘前公園・弘前城(通称「津軽城」)付近に枝垂桜などが咲き誇る。
本州最後の花見となるが、見ごろは4月下旬〜5月上旬。
●秋田県仙北市角館(かくのだて)町 武家屋敷で知られる角館の町全体が桜花で包まれる。
見ごろは4月下旬〜5月上旬。
●福島県田村郡三春町 滝桜。樹齢千年を超す紅枝垂桜が満開となるころはまさに絶景。
見ごろは4月中旬〜下旬。
◇関東・甲信越地方
●東京都各所 上野公園の桜は知名度なら都内随一だが、花見客のドンチャン騒ぎを嫌う向きは、落ちついた雰囲気の靖国神社境内、千鳥ケ淵、六義園、播磨坂、飛鳥山公園、隅田川土手、小金井公園(小金井市)、片倉城址公園(八王子市)などへどうぞ。
見ごろは4月上旬。
●埼玉県幸手(さって)市 利根川の支流権現堂川(ごんげんどうがわ)の堤に約一キロにわたり桜と菜の花が競演する。
見ごろは3月中旬〜4月上旬。
●長野県伊那市高遠(たかとお)町 高遠城址公園の濃いピンク色の小彼岸桜は、遠く残雪の輝くアルプスの山々とのコントラストが映え美しい。
見ごろは4月中旬〜下旬。
◇関西地方
●京都市各所 上賀茂神社、京都御所、平安神宮、醍醐寺、清水寺、円山公園、平野神社、嵐山など、京都は桜の名所に事欠かない。
それぞれ個性的な桜たちだが、あえてベスト3を挙げれば、平安神宮の南神苑・栖鳳池(せいほういけ)の八重紅枝垂桜、50種・500本が咲き誇り「平野の夜桜」で知られる平野神社(北区平野宮本町)、奈良・吉野山の山桜を後嵯峨上皇が嵐山一帯へ移して以来、京都有数の桜の名所になった嵐山となるだろう。
見ごろは3月下旬~4月上旬。
●大阪市北区天満 造幣局(ぞうへいきょく)桜の通り抜けは、桜(八重桜)の花見時期の一週間だけ通り抜け(南門〜北門の構内通路)を公開する。
約123種・350本が咲き乱れ、見物客は約65万人。
見ごろは4月中旬〜下旬。
●奈良県吉野郡吉野町 吉野山では約3万本の山桜が8キロの尾根一帯に3週間にわたり山裾から山上へ順次咲き誇り、全山が白く見える様子を「照らず降らずの花ぐもり」という。
見ごろは4月上旬〜5月上旬。
◇九州・沖縄地方
●長崎県大村市玖島(くしま) 大村公園に、国の天然記念物の大村桜をはじめ約21品種・2000本が開花する。
見ごろは3月中旬〜下旬。
●沖縄県名護市名護 名護城跡では日本一開花が早い桜と、沖縄で野生化した濃紅色の緋寒(ひかん)桜(彼岸桜とは別種)を見物できる。
見ごろは1月下旬。
竹冠(たけかんむり)に旬と書いて筍と読ませるのには、うまい字を考えたものだと感心させられます。
成長が早く、一旬(約10日間)で竹になるところから筍と書きます。
こればかりは食べどきに遅れると、煮ても焼いても食べられません。
筍は掘りたてに限ります。
孟壽竹(もうそうちく)の地下茎から地上に姿を見せた、若い芽が筍です。
一口に筍といっても、関東地方と京都では風味も違います。
関東地方のものは、掘りたてでも糠(ぬか)と赤唐辛子を加えて長時間茹で、さらに冷ましてからでないと食べられません。
一方、早朝に掘り出される京都の筍、いわゆる「京の朝掘り」は、軟らかくてえぐみもほとんどないため調理に手間暇がかかりません。
鮮度満点の朝掘り筍は、鰹節たっぷりの土佐煮、シンプルな焼筍、新若芽(わかめ)と合わせた若竹椀、木の芽和え、白和え、天麩羅など幅広く用いられます。
この京都の名物筍を偏愛する人が各地に結構いて、これだけを食べるためにわざわざ京都を訪れていると聞くとちょっと驚かされます。
一般的に筍の旬は4月上旬から5月上旬です。
この時期には、一度ならずたいがいの家庭の食卓に筍料理が並ぶことでしょう。
花見には筍御飯(炊き込み御飯)をつくり、重箱に詰めて桜の花の下で広げると、いつものランチとは雰囲気が違い楽しめます。
食のもう一つの楽しみとして、この季節を代表する和菓子の桜餅があります。
これも関東と関西では材料や製法が違います。
元祖は江戸時代から続く東京向島の長命寺の桜餅です。
関東風は小麦粉の薄皮で餡を包み、塩漬けした桜の葉3枚でくるみます。
一方、関西風は道明寺粉(水に浸して蒸した糯米を乾燥させてから粗く突きつぶしたもの。
「糒(ほしい)」ともいう)を用いて餡を包み、桜の葉を巻きます。
このように東西で形に違いはありますが、いずれも桜の葉の風味が持ち味です。
一度食べ比べてみてください。
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