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「十字軍遠征」の結果や影響はどんなもだったのか?

中世期、イエスの生地であるエルサレムの一帯はビザンツ帝国(東ローマ帝国)の支配下にありました。
しかし11世紀に入ると、イスラム教のセルジューク・トルコ帝国がたびたびこの地域を脅かすようになります。

そこで1095年、ビザンツ帝国からの救援要請に応える形で、ローマ教皇庁は西欧の王侯貴族に聖地奪回を呼びかけました。
この翌年から、西欧キリスト教諸国による中東イスラム圏への十字軍の遠征が始まったのです。

十字軍戦争は、フランスやドイツの王族たちが直接に関わった大規模なものだけで、1096年の第1回十字軍から、1270年の第7回十字軍まで、およそ200年の間に7回も行なわれました。
このほか同時期には、王侯貴族ばかりでなく、農民たちによる小規模な遠征が大量に行なわれています。

第1回十字軍は1099年に聖地エルサレムを占領し、占領維持のためエルサレム王国を建設して、少数の棋士がその後も駐留を続けました。
しかし、十字軍は現地のユダヤ教徒やイスラム教徒を大量に虐殺したため、強い反発を受けていたのです。
エルサレム周辺のイスラム教諸国は聖戦を主張して、何度もキリスト教徒の占領地を脅かし、血みどろの戦いがくり返されました。

1147年にはドイツとフランスの諸侯による第2回十字軍が派遣されましたが、諸侯たちの足並みが揃わず、内紛のため失敗に終わっています。
1189年の第3回十字軍は、ドイツ皇帝フリードリヒ・バルバロッサ(赤髭王)、フランス王フィリップ2世、イギリス王リチャード1世(獅子心王)がそろい踏みで、10万の軍勢を送り込みましたが、またも内紛のため迷走します。

十字軍を迎え撃ったアイユーブ朝のサラフ・アッディーン(サラディン)は、大勝利を収めたのですが、捕虜を手厚く扱ったうえ、キリスト教徒の聖地巡礼の権利を認める和議を結びました。
当時、イスラム教徒の方がよほど寛大だったのです。
続いて、1202年には第4回十字軍が行なわれますが、同じキリスト教国のビザンツ帝国の領土に攻め込むという本末転倒の事態に終わります。

1228年の第5回十字軍では、出発前にドイツ皇帝が教皇庁に破門され、イスラム教徒との交渉で聖地を一時確保したものの、すぐに奪還されてしまいました。
その後、第6回、第7回の十字軍として1248年と1270年にフランス王の軍がエジプトとチュニスに侵攻しましたが、これも失敗に終わったのです。

以上のように、後半の十字軍はどうにも格好があまりよくありません…
理由は、初期の十字軍は宗教的情熱が中心にあったのが、次第に、諸侯や騎士の領土獲得、軍の輸送を担当する地中海商人のビジネスが目的になっていったからです。

また、先にも触れたように、多くの庶民も十字軍に参加していました。
これは、貧しい農民たちによる東方への開拓移民や、神の国の到来を希望する千年王国運動と結びついていたのです。

中でも、1212年の少年十字軍は純朴な信仰心を持った少年たちによって行なわれましたが、参加者の多くは奴隷として売られてしまうなど、悲劇的な結末をたどりました。
十字軍の遠征は、西欧のキリスト教徒による聖地エルサレムの確保という本来の目的に関しては、最終的にはほとんど失敗だったのです。

しかし、この遠征のくり返しを通じて地中海の交易路が発達し、東方の文化が西欧に流入してきました。
これらは、のちのルネサンス時代の下地となったともいえるでしょう。
十字軍の成果は、そんな意外なところにあったのです。



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