スペインのサラゴサには西暦40年、不況していたヤコブの前に聖母マリアが現れ、この地に聖堂を建てるように命じたという伝承があります。
これを皮切りに、マリアが人々の前に現われ、預言やメッセージを与えたという言い伝えや記録が世界中に残り、聖母出現の地には現在も多くの巡礼者が訪れているのです。
1854年に「聖母無原罪の御宿り」の勅書を発して以来、カトリック教会は世界各地から寄せられるマリア出現譚を調査…
各地の司教やバチカンの奇跡認定委員会(1588年創設)などの認定作業を経て、教会としての立場からその真偽を表明するようになりました。
カトリックにおいて「無原罪の御宿り」であるマリアは、罪の結果である死を免れるとともに、死の前兆である老いからも免れたとされています。
そして、生涯の終わりに死んだのではなく、生きたまま身体ごと天に召された(=聖母被昇天)としており、教義的にはマリアは未だに生き続けているのです。
だからこそ、マリアがどこへ現われようとも、教会は即座にこれを否定せず、「聖母出現」の認定作業を行いました。
教会は認定作業を「人々が聖母の形をとった悪霊に支配されないため」に必要な手順としており、現われたとされるマリアから託されたメッセージが教義に相反する場合は、これを公認していません。
カトリックが公認した聖母出現の代表的なものには、「ルルドの聖母」や「ファティマの聖母」などがあります。
そしてなんと日本にもカトリック教会が正式に認めた聖母出現が存在するのです!
1973年、秋田県の修道会「聖体奉仕会」で、修道者の手に聖痕が現われました。
また、木製のマリア像から101回にも渡る落涙、芳香現象、参拝者の難病治癒なども報告されたのです。
教区司教による調査の結果「奇跡としての超自然性を否定できない」とされ、1988年にバチカン(教皇庁)の教理聖省長官のラッツィンガー枢機卿(後の教皇ベネディクト16世)によって正式に受理されました。
これ以外にも、仙台や津和野に聖母出現譚は残っていますが、公認には至っていません。
現在公認されている聖母出現は20例にも満たないのですが、世界各地での報告例は、調査中も含めて数千件にのぼるとされています。
その全てが公認される可能性もありますが、調査は慎重に進められるため、急激に増加することはあり得ないでしょう。
秋田の出現は「否定されていない」だけです。出現の公認申請が1988年に提出されただけであり、教皇庁(教理省)は未だ判断を保留している状態です。
聖母の出現に対する教会の判断には「公認・未公認・否定」のステータスがあり、秋田の現状は「未公認」であるため、秋田をファティマやルルドと同列に扱う本文の記載内容は事実と異なります。