職場のエリート候補生を女性同士で取り合ったが敗れ、意中の彼はライバルの女性と結婚することになった…
こんなとき、「彼のようなエリートで女たらしの男は、結婚したら、きっと家庭をかえりみないから結婚しなくてよかった」などという女
性がいます。
言ってしまえば負け惜しみなのですが、心理学ではこれを「合理化」と呼びます。
自分の欲求がかなわないとき、人は欲求不満に陥るが、その苦しみから逃れるため、事実を都合のいいように解釈し、理屈をつけて自分を納得させる傾向が、この「合理化」なのです。
この心理メカニズムは、イソップ童話にも登場します。
キツネがおいしそうなブドウをみつけ、木に飛びついてブドウをとろうとするのですが、届きません…
あきらめたキツネは「あのブドウはどうせ酸っぱいから、とれなくてもいいや」と「合理化」して、去っていくというお話です。
「合理化」は、一時的な安心を得るには、手っとり早い方法です。
第一志望の会社に就職できなかった学生が、「あの会社は無理をしすぎているから、すぐに息切れする」と自分を納得させる…
出世できないサラリーマンが、「どうせ給料はたいして違わないから、ヒラのほうが楽だよ」とうそぶく…
といった具合です。
たしかに、「合理化」は心の平衡を保つには便利な防衛機制ではありますが、しょせんは負け惜しみで…
そこから現状を打破するようなエネルギーは生み出されなません。
たとえば、選挙に敗れた政治家が、「今の日本では、誰が議員になっても変わらない…くたびれるだけだから、しばらく休んでいるよ」とでも合理化しようものなら、もう誰もついてこなくなるのです。
上手に「合理化」するためには、負け惜しみは心の中だけで語って、人前では避けることが良いのでしょうね。
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