イエス・キリストの墓とされるものは世界各地に存在しています。
最も多くのキリスト教徒に信じられているのは、エルサレムにある聖墳墓教会(せいふんぼきょうかい)です。
あるいは一部のギリスト教徒は、少し離れた場所にある「園の墓」と呼ばれる場所こそが、イエスの墓であると信じています。
イエスは、ゴルゴタの丘で処刑されたあと、その近くに埋められたと考えられているのですが、ゴルゴタの丘の正確な位置そのものが現在ではわからなくなっており、諸説が分かれる結果となっているのです。
とはいえ、ほとんどのキリスト教徒はエルサレム近辺にイエスの墓があることを疑っていません。
ところが、なんとインドにもイエスの墓があるという伝説があるのです。
インドのカシミール地方には、古くから一定数のユダヤ人が住んでいるのですが、その中のある一族がイエスの墓を守り続けているというのです。
実際、同地方でイエスの名が彫られた墓も発見されています。
この地に伝わる伝説によれば、ゴルゴタの丘で処刑されたのはイエスの身代わりであり、エルサレムを脱出したイエスはインドにまで逃れ、そこで天寿をまっとうしたというもの。
天寿をまっとうしたということは、つまり、インドにあるその墓の中にはイエスの遺体が存在するということになります。
だが、正統なキリスト教の信仰においては、イエスは一度死んだあと復活し天に昇ったということになっているから、墓の中に遺体があるというのは、かなり受け入れ難い話でしょう(聖墳墓教会なども、そこにイエスの遺体そのものがあるとは考えられていない)。
しかし、イエスとインドの関係は、この墓だけに限らないという説もあります。
イエスが幼少期以降、30歳で洗礼を受けるまで、どこで何をしていたかは「新約聖書」に書かれておらず、謎となっているからです。
そのため、この期間、イエスはインドまで旅をし、バラモン教の司祭のもとで修行して叡智を授けられたという伝説が古くから存在しているのです。
インドはイエスと関わりの深い土地であり、この伝説を信じるならば、そこに墓があっても、それほど突飛な話ではないのかもしれません。
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