ユダヤ教およびキリスト教の正典「旧約聖書」に描かれている「モーセ(モーゼ)」をご存知でしょうか。
旧約聖書の「出エジプト記」などに現れる古代イスラエルの民族指導者です。
「モーセの十戒(じっかい)」やモーセが杖を振りあげて海を割る話は聞いたことがあるのではないでしょうか。
ここではそんな預言者モーセの生涯と十戒に関してご紹介したいと思います。
Sponsored Links
預言者モーセの生涯と十戒
旧約聖書には、多くの預言者が登場します。
なかでも、エジプトの奴隷となっていたイスラエル人を救出したモーセは、その原点のような存在です。
イスラエル人がエジプトに移り住んだ当初は、エジプトの王(ファラオ)から信用されていました。
しかし、時を経て王朝が交代すると、ファラオの奴隷として苦役に従事させられるようになります。
さらに、イスラエル人の増加を懸念したファラオは、その男児をみな、ナイル川に投げ捨てろという残忍な命令を下しました。
モーセが生まれたのは、そんな過酷な時代だったのです。
モーセの母親は、わが子を見殺しにはできないとして、彼を籠に入れナイル川に流します。
それをファラオの王女が見つけ、自分の子として育てたのです。
やがて成長したモーセは、虐待されている同胞を助けるためにエジプト人を殺してしまいます。
殺人の罪で追われる身となったモーセは、エジプトからアラビア半島のミディアンに逃れ、その地で結婚し羊飼いとなりました。
さらに年月がたったある日、老人となったモーセに神が語りかけるのです。
「わたしの民(イスラエル人)をエジプトから救い出し、約束の地カナンへ導きなさい」と。
神の使命を受けたモーセは、エジプトに戻ります。
そしてファラオに会ってイスラエル人の解放を訴えたが、聞きいれてもらえません。
すると、虫の大量発生や家畜の全滅など、数々の災いがもたらされるようになったのです。
最後の災いは、ファラオの息子をはじめ、エジプト中の家の長子が死んでしまうというものでした。
わが子を失ったファラオは、ようやくイスラエル人の解放を認めるようになります。
ところが、モーセの率いるイスラエル人一行がエジプトを出ると、気が変わったファラオが軍勢を差しむけました。
葦(あし)の海(紅海ではないかといわれている)に追いつめられたモーセ一行は、絶体絶命のピンチに陥ります…
そのとき、「葦の海の奇跡」が起こるです。
モーセが杖を振りあげると、目の前の海が割れ、1本の道が現われました。
イスラエル人たちは、この道を渡り対岸に行くことができましたが、あとを追ってきたエジプト軍は、海にのみこまれてしまったのです。
エジプトを脱出したモーセ一行は、さらに、苦しい荒野の旅を続けました。
そして3カ月後、飢えと渇きに苦しみながらも、シナイ山のふもとにたどりつきます。
そのとき神の声を聞いたモーセは、シナイ山に登り、そこで「十戒(じっかい)」を授けられます。
1、あなたには、わたしのほかに神があってはならない。
2、あなたは、いかなる偶像もつくってはならない。
3、あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない。
4、安息日を心に留め、これを聖なる日とせよ。
5、あなたの父と母を敬え。
6、殺してはならない。
7、姦淫してはならない。
8、盗んではならない。
9、隣人に対して偽証してはならない。
10、隣人の家を欲してはならない。
ところが、イスラエル人たちは、この戒めを破ってしまうのです。
モーセが十戒の石版を授けられ、いよいよ約束の地カナンへ向かおうというときに、黄金の子牛像をつくってこれを神として拝んだのです。
イスラエルの民は、その後もたびたび神にそむきます…
その結果、罰として40年もの歳月をシナイの荒野で過ごすこととなったのです。
この記事へのコメントはありません。