「バラモン教」と「ヒンドゥー教」・・・・聞いたことがある、という方も多いかと思いますが、この宗教の成り立ちをご存知でしょうか。
この機会にぜひ学んでみましょう。
バラモン教とヒンドゥー教の成り立ち
インドやネパールで多数派を占める民族宗教…
「ヒンドゥー教」。
キリスト教、イスラム教、仏教とくらべて、この「ヒンドゥー教」には特異な点が多いものです。
特定の開祖が存在しないことも、まさにそのひとつです。
ヒンドゥー教の起源は、紀元前1500年ごろに、中央アジアで遊牧生活を営むアーリア人が南下して、インドへ移住してきたことにあるといわれています。
当時、インドではすでに、四大文明のひとつであるインダス文明という高度な文明が築かれていました。
アーリア人は、この文明の担い手だった先住民に侵略をしかけて、彼らを支配下に置くことに成功します。
このときにアーリア人がインドに持ちこんだ宗教と、もともと先住民が信仰していた宗教とが、その後の数百年という長い年月を経て混合し、やがて「バラモン教」という宗教となったのです。
しかし、バラモン教は、紀元前500年ごろ、仏教や、仏教と同時期に生まれたインドの宗教「ジャイナ教」といった新たな宗教の台頭で衰退します。
仏教の開祖ゴータマ・シッダールタも、ジャイナ教の開祖ニガンタ・ナータブッタも、もとはバラモン教の修行僧です。
よって、バラモン教から少なからぬ影響を受けてはいましたが、一方で彼らは、バラモン教に対する批判者でもありました。
この状況に危機感を覚えたバラモン教の指導者たちは、さまざまな改革を行なうことで人気の回復をはかります。
その一つが、古くから庶民に親しまれてきた土着の神々への信仰を奨励することだったのです。
指導者たちは、神々の人気や知名度にあやかり、人心をとり戻そうとしたわけです。
バラモン教はしだいに復興するものの、反面、改革はその呼称を変えてしまうほど大きな変質をもたらしました。
こうしてバラモン教から生まれかわった宗教が「ヒンドゥー教」なのです。
ヒンドゥー教は、よく「大河」にたとえられます…
それは他者を排除するのではなく、むしろ吸収しながら盛衰をくり返しているからなのです。
また、ヒンドゥー教は神々への信仰と同時に輪廻や解脱といった独特な概念を有し、四住期に代表される生活様式、身分(ヴァルナ)・職業(ジャーティ)までを含んだカースト制等を特徴とする宗教です。
三神一体(トリムルティ)とよばれる近世の教義では、中心となる3大神、すなわち
ブラフマー:宇宙、世界に実存、実在の場を与える神
ヴィシュヌ:宇宙、世界の維持、平安を司る神
シヴァ:宇宙、世界を創造し、その寿命が尽きた時に破壊、破滅を司る神
は一体をなすとされています。
しかし現在では、ブラフマー神を信仰する人は減り、ヴィシュヌ神とシヴァ神が二大神として並び称され、多くの信者がいます。
ヴィシュヌ神を信仰する派をヴィシュヌ教、またシヴァ神を信仰する派をシヴァ教と呼びます。
そして、ヒンドゥー教の神や祭祀は一部形を変えながらも、日本の仏教に影響を与えています。
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