私たちの日常会話でも出てくる「四苦八苦(しくはっく)」という言葉があります。
意味は「思うようにならない」というものです。
しかし、そもそも四苦八苦とは仏教における苦の分類でもあったのです。
今回はそんな「四苦八苦」の「四苦(しく)」についてお話したいと思います。
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仏教における「四苦」の意味とは?
王族という恵まれた地位にありながら、それを捨てさるほどブッダを悩み苦しませたもの…
それは、人間は生きている限り、「老い」、「病気」、「死」という苦しみから逃れられないということでした。
さらに言えば、これらの苦しみは、この世に生まれたからこそ、生きているからこそ生じるものです。
そこで、仏教では生、病、老、死を「四苦(しく)」と呼び、人間の根元的な苦しみとしているのです。
カピラ国の王子だったころのブッダが「四苦」と向き合い、出家を決意したきっかけとなる「四門出遊(しもんしゅつゆう)」というエピソードがあります。
あるときブッダは、城から出かけようと東の門をくぐりました。
すると、そこにはよぼよぼの老人の姿がありました。
ブッダはそれを見て、老いへの恐怖を覚えます。
後日、南の城門から外に行こうとすると、今度は、重い病に苦しむ人を目の当たりにするのです。
その悲惨な光景に気を滅入らせたブッダは、外出をとりやめてしまいました。
また別の日に西門から出かけようとすると、葬式の列に出会います。
それを見たブッダは、誰もがいつかは死ぬという現実を思い知ることとなります。
そして、最後に北の門から出ようとしたとき、これまでとは打って変わった光景を目にするです。
1人の修行者が、すがすがしい表情で立っていたのです。
それを目にしたブッダは、清廉(せいれん)にくらしながら修行に打ちこめば、病、老、死の苦しみから逃れられるのではないかと考え、出家を決意したのです。
ブッダが生きていたころの古代インドでは、輪廻という考えが信じられていました。
つまり、生、病、老、死の「四苦」は永遠に続くもの…
ブッダは、このことに深く絶望していたのです。
それゆえ、どうすれば輪廻転生(りんねてんしょう)から抜け出すことができるかといるが、後のブッダ、および仏教の一大テーマとなっていくのです。
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