目次
道の一つの形態である「神社神道」(じんじゃしんとう)…
神道13派に代表される神道系新宗教教団である「教派神道」(きょうはしんとう)…
この2つの違いをご存知でしょうか?
ここでは「神社神道」と「教派神道」の違いに関してご紹介しましょう。
Sponsored Links
神社神道について
「神社神道」という呼称は、神道の長い歴史からするとかなり新しいものです。
つまり、明治以降台頭してきた神道系独立教団が「神道教派、宗派神道」と称したのに対応して、内務省神道局に属した国家の宗祀を司る神社の神道(惟神の道)をそれらと区別するため名づけられたわけです。
第二次大戦後、神社も国家の所管を離れ宗教法人となり、昭和21年2月、全国神社の総意にもとづき神宮(伊勢神宮)を本宗とする宗教法人神社本庁が設立され、神社神道の名称が一般的に用いられるようになりました。
江戸期以前は特に区別する必要がなかったため、単に神社と称していたのです。
神社本庁の「庁規」によると、神社神道に連なる神社の属性は、「神社は、本殿、拝殿等公衆礼拝の施設を備へ、神社神道に従って、祭祀を行ひ、神徳をひろめ、及び氏子、崇敬者その他を教化育成することを主たる目的とす」となっています。
氏子というのは本来、氏族の守護神(氏神)とその成員(氏人)との関係を示す用語でしたが、現在では居住する土地の神社と生活上帰属関係を持つ人を指します。
また崇敬者とは、氏子区域に関係なく、信仰的契機によってその神社を継続的に崇敬し、氏子に準じて神社の興隆のため尽くす人です。
神社の奉職者は、神宮の場合「神官」と称し、神宮以外の神社は「神職」と総称されています。
神宮で「神官」に包括される職制は、大宮司・少宮司・禰宜.権禰宜、宮掌までです。
神宮以外の神社の場合は、宮司、禰宜、権禰宜を神職とし、名誉宮司・怜人(雅楽の楽人)・巫女などは神職と区別されています。
神社の祭神は、万物創造に関する神 霊能上の神・人の霊 職業上の神・天象および地象に関する神、動植物に関する神、食物に関する神に分類されます。
祭神(神徳)の名によって定められているお社の名称を数の多い順に紹介すると、稲荷神社(五穀豊穣の守護神)と八幡神社(文化を導く神)が最も多く、次いで神明宮(天照大神)・天満宮(学問の神)・浅間神社(農家の守護神)・天王社(災厄懐除などがあげられます。
神道は「祭祀」が根本といわれますが、祭祀は、各神社の祭祀規程にもとづいて大祭、中祭・小祭、、諸祭に分けられています。
大祭は一般的に例大祭と呼ばれ、中祭は各神社の由緒ある祭祀などで、小祭は大祭・中祭以外の特殊神事をいいます。
諸祭は神社祭祀以外の祭祀を総称し、人生儀礼などの祈願がこれに当たります。
神社の建築物は、概ね本殿.幣殿・祝詞殿・拝殿・神庫(神宝類を収容する倉)・神饌所・社務所・祭器庫・神厩(神馬を入れる殿舎)・神楽殿.祓殿・舞殿・儀式殿・末社(摂社ともいう。神社の由緒に属する社)・神輿舎 手水舎、玉垣(瑞垣)・鳥居(神域に入る関門)で構成され、神社の大小によって変動があります。
Sponsored Links
教派神道について
「教派神道」とは、幕末から明治にかけての政治的・社会的激動期を背景にして、民衆のエネルギーによって発生した神道的宗教を基盤にする新宗教に端を発しています。
この時代、幕府の御用宗教化した伝統仏教系からではなく神道系から新宗教が誕生したことは、その後の第二次世界大戦の戦中・戦後にかけて興起した新宗教が国家神道の系統ではなく仏教系から輩出したことを見ても、注目すべき事柄の一つです。
教派神道は、一般的には神道的宗教の伝統の中から輩出した特定の組織者、創唱者(教祖)が成立させた宗教と理解されていますが、なかには必ずしもそうではない教派も含まれています。
教派神道系教団は、明治以後独立した13派を中心に以下の五系統に分けられます。
➀山岳信仰系・・・富士講から出た実行教”、扶桑教と、木曽の御嶽講から展開した御嶽教。
いずれも修験道系の講社を再編成したもの。➁純教祖系・・・教祖としての活動が顕著で、そこの個人的宗教体験をもとに教団が結成された黒住教・金光教・天理教。
➂禊系・・・禊(水行による罪・けがれの除去) による心身の鍛練を強調する禊教・神習教。
➃儒教系・・・儒教と復古神道の融合とも称すべき神道修成派・大成教(神道大成教)。
山岳信仰や禊の伝統をも導入している。➄復古神道系・・・復古神道の影票最も濃厚な大社教(出雲大社教)・神理教・神道本局(神道大教)。
これらの諸教団を含め、現在『宗教年鑑』では、神社神道系以外の神道の系統を「教派神道系」「新教派系」の二系統(一部は諸教にも包含されている)に分類しています。
この『宗教年鑑』によると、文部大臣所轄の包括宗教法人の数は教団の大小を別にして、神社神道系が16団体であるのに対し、教派神道系は79団体を数え、新教派系は46団体に上っています。
それを信者(氏子)数で比較してみると、神社神道系の総計が9468万人、教派神道系が368万人(分類上「諸教」に編入されている天理教の191万人を除く)、新教派系が51万人となっており、信者の数では両者に大きな差が生じています。
また、教派神道の端緒となった13派は当初14派でしたが、その一派・神宮教が財団法人神宮奉斎会に改組(現在は、神社神道系の神宮教として承継)されたため(村上重良著『日本宗教事典』講談社)、教派神道13派と呼ばれるようになりました。
明治期に発生した神道教派とは逆に、明治の神仏分離令などによって道統が途絶えた神道流派としては、法華神道、両部神道(真言密教系)および同系統の御流神道、三輪流神道(一部存続)・山王一実神道(現在の日吉大社)などの仏教系神道流派があります。
Sponsored Links
この記事へのコメントはありません。