宗教上における終末観の意味をご存知でしょうか。
終末観とは、世界の最後や人類の最終的運命に関する観念のことを言います。
大部分の宗教になんらかの形でみられ、一般に審判・応報・復活などの観念を伴います。
ユダヤ教、キリスト教、イスラムには、やがて世の終りがきて、すべての人間が最後の審判にかけられるという思想があります。
それでは終末観の意味や思想についてより詳しく見ていきましょう。
終末観の意味や思想とは何なのか?
諸宗教には、それぞれの教義にもとづいた終末観が述べられています。
それは個人に関する事柄の場合、死後の運命の行く末を詳細に語ることによって、充実した信仰生活を送るよう励ますものであり、人類や世界の未来に関する場合は、終末の様相や蘇りを示して、人類共同体としての意識の高揚を鼓舞するものです。
人類と世界の終末の運命を述べる著名な観念としては、仏教の「末法観」、イスラーム教の「最後の審判」、キリスト教の黙示録的信仰にもとづく「千年王国論」と「ハルマゲドン」、ゾロアスター教の「聖火による審判」、ヒンドゥー教の「暗黒期」などがあり、それぞれが一種の預言として示されています。
これらの終末論の特徴を大まかに分けると、時代が下るに従って、教祖の教えや世相の有様が衰退していくとのか“末法思想”と、将来訪れるであろう“終末の審判”を教示する考え方の二つの傾向が見られます。
前者に区分される仏教では、釈尊入滅後なお正しく教えが保たれる500年を正法時、次の千年を正法時に似ているが教と行のみが残り、証が失われた像法時、その後の1万年を教のみが残り、仏法の信仰が滅し去ろうとする末法時として、3期に分けて説いています。
ヒンドゥー教も、梵天(宇宙の創造神)の住む世界の一日(地上の43億2000万年)の昼夜ごとに創造と帰滅が繰り返されるため、現在地上は暗黒期に当たり、人間世界の信仰、身長、寿命などが低下し、期末には大帰滅が起こると説きます。
後者に分類されるイスラーム教では、終末の日の有様と最後の審判の様子が克明に示されています。
そこでは、天変地異が勃発してすべての死者が墓から蘇り、逃れる者なく審判の場に臨み、各自の完全な記録にもとづいて判決が出され、天国か地獄に分けられる…
とするその日の様相を描き出しています。
キリスト教では、新約聖書の黙示録に関連して、キリストが地上に再来して建設される現世天国(千年王国)と、その終末に訪れる最終的救済および悪魔が神に最終の決戦を挑むハルマゲドンがよく知られています。
千年王国論は現在、エホバの証人やセブンスデー・アドベンチストなどのプロテスタントの一部の諸派で信奉されるだけにとどまっています。
ハルマゲドンは、新約聖書最終の書「ヨハネの黙示録」に出てくる言葉です。
「汚れた霊どもは、ヘブライ語で『ハルマゲドン』と呼ばれる所に王たちを集めた」と記されているように、悪魔が神に最後の決戦をいどんだ場所の名前です。
この名は、歴史上よく知られた古戦場に因んで、終末の決戦場を象徴する名として用いられたといわれています。
これらの終末観は、いずれもが「神仏による救いの計画・予定や比喩的、象徴的な警告」として発せられ、この危機感を通して信仰に人々の目を開かせることが願われたのです。
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