キリスト教(および、その源流となったユダヤ教)で神とされる「ヤハウェ」は、もとは中東のシナイ山で信仰されていた火山の神であり、戦争の神であったと考えられています。
それが次第にユダヤ民族の神となっていき、世界や人間を創造し、万物を司る唯一全能の神と見なされるようになっていきました。
ユダヤ民族の文字であるヘブライ語でヤハウェは「YHWH」と表記され、この四文字は「神聖四文字(テトラグラマトン)」と呼ばれています。
しかし聖書の中に「神の名をみだりに唱えてはいけない」と記されているため、ユダヤ民族はヤハウェのことを「アドナイ(我が主)」とだけ呼びました。
これを引き継ぎ、キリスト教でもヤハウェは、基本的には「神」や「主」とだけ呼ばれています。
ちなみに、キリスト教・ユダヤ教の神をエホバと呼ぶこともありますが、これはユダヤ民族が世界に散らばっていった過程で、次第に「YHWH」の正確な読み方がわからなくなり、誤読されるようになった結果生まれた呼び方なのです。
ところで、ヤハウェはユダヤ教においては、気まぐれで残酷であり、ときに人間に罰を与える恐ろしい神として認識されていました。
人類を大洪水で滅ぼそうとした「ノアの方舟」の逸話は、その典型的な例です。
しかしキリスト教では、ヤハウェは慈愛によって人々を救う神と見なされています。
ここにも、「愛の宗教」であるキリスト教の特徴が現われているといえるでしょう。
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