現在は、火の用心の注意喚起としては、「カーン、カーン」と拍子木を打つ音が冬になるとよく聞こえてきますよね。
最近はあまり聞かなくなりましたが、「火の用心、マッチ一本、火事のもと」…
昔はよく、この掛け声を聞いたものです。
もちろん「火の用心」は火事や火の始末など注意喚起するためのものですが…
今回はそんな「火の用心」に欠かせない、拍子木(ひょうしぎ)の由来や意味についてご紹介したいと思います。
Sponsored Links
火の用心の拍子木…由来や意味とは?
「火の用心」という掛け声の後に、カチカチと拍子木を2回鳴らす火の用心の見回りは、かつては日本の冬の風物詩でした。
この火の用心の見回りは、江戸時代に幕府の夜警のお触れが出てからはじまったといわれています。
「火の用心」という掛け声は、徳川家康の家臣であった本多重次(ほんだしげつぐ)が、長篠の戦いの陣中から妻に宛てた手紙、「一筆申す 火の用心 お仙瘦さすな 馬肥やせ かしく」という手紙が由来といわれています。
「火事に気をつけるよう(使用人に徹底させよ)、(五人の子供のうち、男子は)仙千代だけだから大事にせよ、(武士にとって大事な)馬の世話を怠るな」という意味で、日本一短い手紙として有名になったことから、夜警の掛け声に採用されたようです。
拍子木を打つのは、響きのよい音で鳴るため、人々の注目を集めるために用いられるようになりました。
では、カチカチと2回叩くのはなぜか?…
さまざまな説がありますが、これも神社の二礼二拍手一礼と同じように、中国の陰陽思想が関係しているようです。
すべての物事には陰と陽という2つの側面があり、2度打つことによって陰と陽の一対をあらわしているのです。
また神に捧げる食事は、カシワの葉を編んだ食器を使い、捧げる合図として二拍の手打ちをしました。
これが柏手の起源で、やがて身と心を引き締め、神と心を一つにする合図として、他の様々なしきたりで用いられるようになりました。
火の用心の拍子木のカチカチも、人々の注意を喚起する合図であると同時に、神様とともに火の不始末がないか見ているという意味があるのかもしれません。
そんな火の用心の掛け声と拍子木の音が、最近ではうるさいとクレームの対象になってしまうのは、少し寂しいことです。
この記事へのコメントはありません。