日本国内の自殺者数は、平成10年以降急増し、減少の気配はうかがえません 。
ニュースでもよく目にしますし、昨今では人事事故で電車が止まり、足止めを食うことも頻繁にあります。
日本では、10万人あたりの自殺率は20.9人、と言われています。
また、世界保健機関(WHO)は2011年の時点では、日本の自殺率を世界10位(21.7%)と報告していました。
現在においても一向に後を絶たない自殺。
その原因となるものは一体どのようなところから生まれてくるのでしょうか。
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自分自身への破壊願望を持ってしまう原因とは?
自殺とは、自分自身を破壊してしまいたい、という攻撃的な欲望に支配されて起こる行為です。
フロイトは、人の本能には生きることや成長することを求める生の本能(エロス)と、死や苦痛などを求める死の本能(タナトス)がつねに混在していると考えました。
この2つはバランスをとりながら融合していますが、なにかのきっかけで死の本能のほうが強くなってしまうとき、人は殺人や自殺について考えるようになります。
また、この死の本能は、攻撃力や破壊力と深い関係があるため、自分を傷つける自傷行為をしてしまうこともしばしばあります。
最近問題となっている若年層のリストカットや薬物中毒などは、この自傷行為にあたるもので、その延長線上には自殺という最悪の行為があります。
では、なぜ近年、この死の本能へと駆り立てられる人が増えているのでしょうか。
大きな要因の一つとして経済不況をはじめとした、社会不安があります。
自殺者が急増した平成10年頃は、企業による成果主義の導入など労働環境が激変し、サラリーマンにとっては精神的にストレスフルな社会転換がありました。
自殺者の年代別比率を見ると、50代以降が半数以上を占めていますが、彼らの自殺理由に、病苦と並んで多いのが、失業や倒産、生活苦などの経済問題なのです。
警察庁の統計資料によると、平成28年度中の自殺者の動機としては、1位は健康問題(自殺者数11014人・50%)、2位経済生活問題(自殺者数3522人・16%)、3位家庭問題(自殺者数3337人・15%)、4位勤務問題(自殺者数1978人・9%)、5位その他(自殺者数1148人・5%)、6位男女問題(自殺者数764人・3%)、7位学校問題(自殺者数319人・1%)となっています。
こうした大きな不安感が死の本能と結びついたとき、人の攻撃力や破壊力は、自分に向けられてしまうことがあるのかもしれません。
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