今回は秋田県は秋田市…
竿燈の明かりが通りを埋め尽くす「秋田竿燈祭り」をご紹介しましょう。
祭事名:秋田竿燈(かんとう)祭り
開催場所:秋田県秋田市(竿燈大通り・夜本番)
開催日時:2017年8月3日(木)~8月6日(日)
◇夜本番(竿燈大通り)8月3日(木)~8月6日(日)
18:15~:交通規制
18:45~:竿燈入場
19:20~20:25:竿燈演技
20:25~:ふれあいの時間(写真撮影や竿燈体験が可能)
※入場等の時間については、日にちによって多少変わることがあります。
◇昼竿燈(妙技会・エリアなかいちにぎわい広場)
8月4日~8月6日 9:20~15:20
お問い合わせ:秋田市竿燈まつり実行委員会事務局<秋田市観光振興課内>
TEL:018-888-5602
アクセス:電車の場合 JR秋田駅からは徒歩15分
車の場合 秋田道秋田中央ICから県道62号線を経由して約20分
また、普通車に対する無料駐車場は下記のようになります。
秋田県立体育館(140台)
裁判合同庁舎(100台)
秋田地方法務合同庁舎(30台)
秋田合同庁舎(81台)
秋田県庁(280台)
秋田地方総合庁舎(70台)
秋田県庁第2庁舎(60台)
多目的グラウンド(南側75台)
Sponsored Links
秋田竿燈祭りの歴史
「秋田竿燈(かんとう)まつり」は、青森県の「青森ねぶた祭」や宮城県の「仙台七夕まつり」と並び、「東北三大祭り」のひとつに数えられます。
竿燈とは、竹を継ぎ足して伸ばした竿に、たくさんの提灯を吊るしたもので、12メートルを超える竿燈を、差し手がバランスをとりながら立たせる呼びものが特徴です。
国の重要無形民俗文化財にも指定されている、秋田県屈指のお祭りです。
歴史をひも解けば、竿燈まつりは「ねぶり流し行事」が原型になっているといいます。
ねぶり流しは、真夏の仕事を妨げる睡魔を水に流す「眠り流し」が語源です。
この「ねむり」が「ねぶり」に変化してねぶり流しとなり、青森県などで見られる「ねぶた(ねぷた)祭」も、もとは同じだとする説が有力です。
そして、ねぶり流し行事で形代(かたしろ)などを川や海に流してけがれを祓(はら)っているように、秋田市でも笹竹(ささたけ)や合歓木(ねむのき)に短冊を飾り、それを持って町を練り歩いたあと、最後に川へ流す風習があったといいます。
また、江戸時代の寛政元年にあたる1789年の文献には、すでに現在の竿燈まつりに近い形のねぶり流し行事が行なわれていたことが記録されています。
長い竿を十文字に構え、そこに提灯をいくつもつけており、太鼓を打ち鳴らしながら町を練り歩いたというから、まぎれもなく竿燈まつりの原型です。
江戸のころより続く、歴史ある行事であることがわかるでしょう。
竿燈まつりは厄除けとともに、五穀豊穣(ほうじょう)を祈願する祭りです。
そのため、竿燈の形が意味するのは、たっぷり実った稲穂です。
また、たくさんの提灯は米俵に見立てたものでもあり、秋の豊作を願う思いが込められています。
竿燈は大きさによって4種類に分けられ、大きい順番に「大若(じゃく)」「中若」「小若」「幼若」と並びます。
このなかから大若を例にして、竿燈の構造を見てみましょう。
その高さは12メートルにおよび、中心となる親竹の手もとに継竹を足して、長さを伸ばしています。
そして親竹と交差するように横竹を組んでいき、そこに提灯を左右均等の数になるように吊るします。
大若の場合、横竹は9段で、吊るす提灯は全部で46個。
こうして完成した竿燈の重さは、50キロにもおよびます。
これほどの重さになれば、差し手がバランスをとって立てていても、竹でできた竿燈は大きくしなり、吊るされた提灯も揺れます。
その様子が、かえって実りを迎えた稲穂が風に揺らいでいるようにも見えるのだが、これを倒さないようにバランスをとり続けるのは、熟練の差し手の技があってこそといえるでしょう。
ちなみに、最も小さいサイズの幼若ならば、高さが5メートルで重さは5キロといったところです。
これなら簡単に扱えそうだが、小学生低学年の子ども向けの竿燈だから、大人が扱えても何の自慢にもなりません。
倒れそうで倒れない、絶妙なバランスが竿燈の醍醐味です。
もっとも、祭りにはアクシデントがつきもので、風にあおられてバランスを崩し、竿燈を倒してしまうこともあります。
また、竿燈に吊るされた提灯の明かりは、すべてろうそくの炎であり、電球は使っていません。
竿燈が激しく倒れると、ろうそくの火が提灯を燃やしてしまうことすらあります。
竿燈を操る差し手の見事さや、揺れる提灯の美しさとは裏腹に、案外と危険を伴っているのだが、そのスリルも祭りを盛り上げる要因です。
秋田竿燈まつりが開催されるのは、8月の3日〜6日の4日間。
秋田駅の西に位置する大通りが主会場となり、ここは通称「竿燈大通り」と呼ばれています。
夜には、沿道に多くの観客が集まり、やがて250本以上の竿燈が入場。
「夜本番」と呼ばれる竿燈演技が開始されます。
たくさんの人出に賑わう夏祭りにあって、秋田竿燈まつりはかなりシンプルです。
神輿(みこし)の渡御(とぎょ)や、山車(だし)の行列はなく、あるのは太鼓と笛のお囃子(はやし)に合わせた威勢のよいかけ声、それに乗せられるように行なわれる竿燈の演技。
それでも夕闇に揺れる竿燈は美しく、次々と繰り出される差し手たちの妙技に、観客は酔いしれ歓声をあげるのです。
熱気にあてられた差し手も、持っているかぎりの技を披露します。
額や肩、腰といった場所に竿燈を乗せたかと思えば、ときには口でくわえるように支え、マジックのごとく鳩が飛び出すこともあるのです。
夜本番の竿燈演技は時間にしておよそ1時間といったところだが、その内容は極めて濃密で、十分に堪能できます。
また、演技終了後はふれあいの時間が設けられており、写真撮影に加えて竿燈体験が実施されます。
とくに竿燈にふれられる機会は少ないので、ぜひ体験しておきたいです。
一方で昼間の目玉となるのは、秋田駅西側の千秋公園中土橋で行なわれる「竿燈妙技会」でしょう。
こちらは戦後から始まった、竿燈の文化と技術を保存するためのもので、いわば技のコンクール。
腕に覚えのある差し手が渾身の演技を披露し、その年の優勝者を決めます。
しかし、差し手にとって、これは単なる余興の一環ではありません。
竿燈の差し手は、町内単位や企業の団体で構成されているから、個人の名誉とともに団体の誇りもかけた真剣勝負です。
夜本番で観衆を沸かせるよりも、むしろ妙技会に力が入るという人も少なくないはずです。
近年、竿燈の後継者不足が危惧されているが、ときにそんな不安を吹き飛ばすように、ベテランを押しのけて上位入賞を果たす若者が出現するなど、観客はもちろん出場者も大いに盛りあがります。
このように秋田竿燈まつりは、大きく分けて昼と夜の2部構成となっているが、いずれも主役は竿燈の演技です。
その見事な演技は迫力があり、全国から多くの観客が出向いてくるのも納得です。
また、竿燈まつりの開催期間以外は、県外や海外からの依頼を受けて出張公演を果たしているように、秋田の竿燈人気はますます広がり、注目を集めています。
もっとも、観覧するなら本場が一番です。
熱気に包まれた竿燈大通りで、黄金色の稲穂のように揺れる竿燈の波を見るのは格別です。
開催場所は、秋田新幹線が停まる秋田駅から近いため、移動の利便性が高く、宿泊施設も充実しています。
竿燈を間近で見られる観覧席は、事前予約も可能で、14人以下の個人枠なら、予約の際に見やすい席の相談にも乗ってくれるのはうれしいところです。
また、青森ねぶた祭と、仙台七夕まつりがほぼ同時期に開催されています。
東北の三大祭りをハシゴして、すべて見て回るのもおもしろいでしょう。
この記事へのコメントはありません。