取引先との関係って、距離感や付き合い方など難しいですよね。
プライベートな関係なら問題ありませんが、仕事が絡んでくるので、面倒です。
取引先の担当者と親しくなっても仕事上では少しは融通をきかせてくれるかもしれませんが、プライベートまでふみこまれると、関係がだらしないものになってくる恐れがあります。
あくまでビジネスでの付き合いなのですから、そこはしっかりと牽制しなければなりません。
取引先とお互い嫌な気持ちにならず、気持ちよくビジネスを行える関係になるために、何か良い方法はあるのでしょうか。
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取引先との上手な付き合い方は譲れない一線を置くこと
外注先担当者Aさん「すみませーん、現場のミスでちょっと納品部数が減っちゃったんですけど。どうしたらいいですかね?」
発注元担当者Bさん「しょうがないなあ。来週までに帳尻合わせてくれたらいいよ。それより今度また飲みに行かない?」
外注先業者と発注元担当者のこうした類いのやりとりは、たいていの会社で日常的に交わされています。
気心が知れた仕事仲間同士、多少のミスはフォローしあえる関係は何かと都合がいいというのも事実です。
しかしそれが高じると、スケジュール、品質、予算の管理がズサンになってしまいがちです。
ビジネス効率を考えたらその外注先は切って別の業者に代えたほうがいいという場合でも、担当者同士の人間関係から「あそこは確かに金額も品質もちょっとアレだけど、納期で無理がいえるし・・・・」なんて理由をこじつけたりしてしまいがちです。
本当は無理のない納期で間にあうスケジュールを自分が組めばいいだけの話なのだが、情もからんでそれができません。
こうなると、互いの関係は有益どころか有害なものへと一変してしまうのです。
冒頭のAさんとBさん。
すでに飲み友だちになっているようですが、ここまでの関係になるとやり取り次第で有害なものに変わる可能性は非常に高い。
「だったら、取引先の人とは距離を置いてつき合ったほうがいいのか」というとそれも違います。
お互いに無理をいえる関係というのは、高い信頼関係のうえに成り立っているものです。
信頼を置く人が周りにたくさんいればいるほど、仕事がやりやすくなるのは間違いありません。
ただ問題は、相手を尊重できる親密な関係でなく、情に甘えただらしのない関係になってしまうことです。
このような事態を避けるためには何に気をつければ良いのでしょうか。
仕事相手と親密な関係を築くうえで気をつけなければならないのは、あくまで「仕事相手」であるという認識をなくさないことです。
つまり、相手の仕事に関しては十分な敬意を払って接することです。
お互いが相手の仕事分野に対して十分な尊敬の念さえ払っておけば、相手を困らせるような事態は避けられるはずです。
逆に、「仲よくなったんだから何でもアリ」のような考え方は、互いの不利益を生み出す要因になってしまいます。
親しい相手でもミスに対して、必要だと思われる指摘や批判ができる人は、脳内で「仕事」と「それ以外」との切り替えが完結しています。
では、いうべきことをいえない、あるいは「いいにくい」と思っている人は、どのような方法でその壁を乗り越えれば良いのでしょうか。
できない人から、できる人へ変身!
ポイントは、どんなに親しくなったとしても、ビジネスとして「妥協できるエリア」「譲れない一線」との明確な区分をつねに頭の中で意識しておくことです。
しかし、その線引きがむずかしいからこそ、ズルズルとだらしのない関係に終始してしまうのがこの問題のやっかいなところ。
いったいどこからが譲れないエリアなのかは、まさにケースバイケースです。
とはいえ、人間的な部分では情に訴えかけ、お互いにもたれあっていたとしても、仕事上のポイントをはずすわけにはいきません。
情から論理への切り替えをきっちりと行うためには、漠然と考えるだけではなく、論理的な思考が必要です。そこで、両者が取り組んでいる仕事の目的を明確に認識し、そこからの逆算を試みてみましょう。
今回の仕事の目的はここ、そのクオリティを左右するキモとなるポイントはここ・・・・と考えていけば、おのずとそのラインが浮かびあがってくるはずです。
それがわかれば、つねに「要望を受け入れてはいけない」というボーダーラインを意識して相手に接することができるようになります。そして相手に対したときは、その要望を受け入れられない理由をできるだけ筋道立てて合理的に説明をすることです。
「一気に堅苦しい会話になって話しにくい」という人がいるかもしれないが、ビジネスライクな姿勢をとったほうがかえって親しい相手には説得力を増します。
いきなり合理的な説明ができないという人は、話す順番や必ず話さなければならないポイントをあらかじめ紙に書いて臨んでみましょう。
合理的な説明というのは、話がそれると途端に崩れてしまうものです。
話がそれる内容を避け、話のポイントだけに絞って伝えるのがコツです。
またトラブルが起こる前に、ビジネスの当初からその目的やキモになるポイントを何度も強調しておくことも忘れてはいけません。加えて、決して返答を先延ばしにしないことも大切です。
相手が無理をいってきたとき、ついつい何とかしてあげたいという気持ちから「上司に相談する」「社にもち帰って話し合う」などといった口実で先延ばしにしてしまうことが多いです。
こういった回答は先に延ばせば延ばすほど、断るのがむずかしくなるものです。
しかも、これを相手の視線で見てみると、あなたはいかにも口説き落としやすい相手に思えてしまいます。
したがって自分に与えられた職権の範囲なら、受け入れられないことは即座にはっきりそう伝えることが肝心です。
冷たい態度のように思えるかもしれないが、そもそもこれはビジネスの基本であることを忘れてはいけません。最後に、仕事の本筋に関しては、けん制することも効果的です。
たとえば「A社がコスト削減で外注先を一新したらしい」「自分の所属部署でまた経費節減が会議のテーマになった」といった話題があれば、世間話のついでにでも必ず相手の耳に入れることです。
ウソも方便で多少誇張してしまってもかまいません。
つねにこうした揺さぶりを相手にかけ続けることで、ビジネスとしての緊張感を保てるのです。
普段から、ある一線を越えるとシビアになるという姿を示すことで、相手にもその線引きは見えてくるはずです。
こうして互いに互いのボーダーラインを見せあうことで、妥協点の探りあいや譲れない線についての議論にも自然と入っていけるはずです。
仕事相手となあなあにならないための心がまえ
●仕事として譲れない一線については、お互いの共通認識としてつねに意識しておきましょう。
●無理な要望を断るときは、合理的な説明でビジネスライクに行いましょう。
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