ご存知のように「茶柱」とは、茶を茶碗についだ時、中に縦に浮かぶ茶の茎のことです。
なので、ペットボトルのお茶が普及した現在では忘れられがちですが、茶柱が立つのは古くから吉兆だと信じられてきました。
しかし、元々この縁起が良いという言い伝えは茶と関係がないところで生まれたというのです。
古来、日本では柱が縁起の良いものとされてきました。
「古事記」の中には、オオクニヌシが妻を迎えて宮殿を建てる際、土台となる石にしっかりとした柱を立て、天高い場所に屋根を作った…
とする記述が残っています。
また神様を数える時に「柱」という単位を使うのも、元々は神様を祀る社を建てる時の柱が由来とされています。
ここから柱は重要なこと、勢い盛んなことを示すようになり、それが転じて運気が上昇していく象徴とみなされました。
柱の縁起が良かったので、茶の中に紛れ込んだ茎がまるで柱のように立っている様子が見られると、それを茶柱として吉事の予兆と解釈するようになった…
とされているのです。
ただ中国から伝わった急須を用いて煎茶を飲む風習が広まったのは、江戸時代のことです。
それ以前は茶葉を粉にして飲む抹茶が普通でした。
これでは茶柱の立ちません。
柱を吉兆とする見方が古代に由来するのと比べれば、茶柱のそれは最近のものといえるでしょう。
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