様々な言い伝えや伝承が残るわが国では、その言い伝えが生まれた理由がわからないものが多く存在します。
たとえば、「夜に口笛を吹いてはいけない」とか「合わせ箸がマナー違反」であるなどです。
理由はよくわからないけれど、そう言われているからなんとなく守って来た…という人もいるのではないでしょうか。
今回はその中でも夜爪を切ると親の死に目に会えない…
その由来に関して、探っていきたいと思います。
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夜爪を切ると親の死に目に会えない…その由来とは?
「夜に爪を切ると、親の死に目にあえない…」という言い伝えも、広く知られたものでしょう。
電気のある暮らしに慣れてしまった私たちには、なかなか想像できませんが、昔の夜の闇は相当深かったことでしょう。
たとえば、江戸時代の灯りといえば、行灯やロウソク、油皿といったもの…
停電になったときにロウソクを灯してやっとわかりますが、その明るさのなんと頼りないことか。
当時はロウソクも油も高価なものでしたから、庶民は暗くなるとさっさと寝て夜が明けたら起きるという生活を送っていました。
現在のような便利な爪切りもない時代に、爪を切るのは小刀か裁縫で使う和バサミだったでしょう。
行灯のうす暗がりの中で、そんな刃物で爪を切ったら、誤って指を傷つけてしまう恐れがあります。
親から授かった大事な体を傷つけるのは親不孝だと儒教で説いているよう、に暗がりで爪を切ろうとして体を傷つけるのは親不孝者で、そんな親不孝者は親の死に目にあえなくなるぞと戒めているのです。
自分の体を大切にしないような親不孝者は、親が亡くなるときに間に合わないというのが、この言い伝えの一般的な解釈でしょう。
しかし、別の解釈もできます。
親の死に目にあえないのは、実は子供の方が先に亡くなってしまうからではないでしょうか?…
自分が早死にしてしまっては、当然親の死に目に立ち会うことはできません。
子供が親より先立つことほど親不孝なことはないでしょう。
暗がりで爪を切るのは、安全性を考えない不注意な行動です。
そんな不注意な行動をとる者は、他のことにおいても不注意で重大な事故に遭いかねません。
そんなことになったら、親は深く嘆き悲しむことになりますから、注意を怠ってはいけませんよ…
そんな戒めの言葉なのかもしれません。
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