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物事のとらえ方や行動が一風変わっており、そのために社会生活を送ることが難しくなってしまうのが「パーソナリティ障害」です。
たとえば責任感がある人は、周りからも信頼されます。
しかし、あまりにも責任感が強すぎても、逆に無責任でも周りは迷惑なものです。
ドイツの精神病理学者クルト・シュナイダー氏は「性格の偏りのために、自分も苦しみ、なおかつ周りも苦しむ」と定義していますが、こうした偏りがパーソナリティ障害の特徴といえるでしょう。
パーソナリティ障害は大きく、➀あり得ない考えにはまりやすいA群パーソナリティ障害、➁感情の表し方が過剰すぎたり、周りを振り回し
たりするB群パーソナリティ障害、➂人間関係に著しい不安を抱えるC群パーソナリティ障害の三つに分けられます。
原因としてよく言われるのが親の影響です。
乳児期に安定した愛着を形成することができなかった子どもは、周りの世界や人に対しての恐怖感を心に刻みつけており、それが大きく影響するともいわれています。
また遺伝的な要因もあるとされています。
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境界性パーソナリティ障害(ボーダーライン)について
気分の移り変わりが激しく、人に対する態度や行動が驚くほど急転するのが「境界性パーソナリティ障害(ボーダーライン)」です。
思春期、または成人期に生じることが多く、圧倒的に若い女性に多いのが特徴です。
その感情の変化は、時間単位、あるいは日単位で起こります。
見捨てられるのではないかという不安が強く、相手が少しでも不機嫌な表情や苛立った口調で話すと、もう自分は必要とされていないのではないかと強い不安を抱きます。
相手にとってみれば特に理由はない場合でも、彼(彼女)らはそれを悪い意味で受け取ってしまうのです。
そして、相手の気持ちを振り向かせようとして機嫌を取ってみたり、逆に憤って衝動的に自己破壊行為を起こすこともあります。
物事を「好きか嫌いか」、「敵か味方か」と極端に考えがちなため、なかなか心の平安を得ることができず、愛情を求めながらも孤独感をますます深めていくのです。
この行動の背景には、幼児期における親子関係の不全や遺伝的問題、トラウマ(心的外傷)経験などがあるとされ、またうつ病や摂食障害などを併発しているケースが見られます。
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自己愛性パーソナリティ障害について
人間の幸せに自尊心は欠かせません。
しかし、過剰なまでにそれが肥大しているとすれば問題です。
「自己愛性パーソナリティ障害」は、ありのままの自分を愛せなくなり、自分に対する誇大感を持つようになる状態をいいます。
彼らは自分には特別な才能があり、当然周囲の人は自分を認めてほめ讃えるべきだと考えます。
そのため、他人からの評価には敏感で、もし批判でもされようものなら強い怒りを表します。
プライドの高さゆえ挫折や失敗を認めることができず、著しく心を傷つけられて、引きこもりになることさえあります。
そのくせ他人の気持ちや立場を理解しようとせず、他人は利用するものと考える傾向にあります。
当然、共感や思いやりに欠けます。
発症の根底には自己愛の傷つきがあります。
母親の過保護(溺愛)と愛情不足のアンバランスな経験や、幼いころは愛情を受けて育っても途中で養育者が亡くなる愛情剥奪経験を持つ人も多いようです。
ただ、芸術など創造的な営みに、こうした傲慢さ、尊大さ、妥協を許さない生き方は欠かせない要件ともいえます。
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