わが子を一流私立小学校へ入学させようと、幼稚園時代から進学塾へ通わせる親御さんたちがたくさんいるそうです。
中には年間百万円以上の塾費をかける人もいるとか…
このように教育熱心な親御さんの中には、「自分が充分な教育を受けることができなかった」、「学歴のせいで実力を正当に評価してもらえない」という強い学歴コンプレックスを持っている人がいます。
これは、我が子に高学歴をもたせることによって、それを自分のものと考え、学歴コンプレックスという劣等感から逃れようとする心理で「同一化(同視)」と言います。
子供が塾や学校へ行くのを嫌がると、親御さんたちは「お前のためなんだから、我慢して行きなさい」、「きっと行ってよかったと思う日が来るから」などと言って説得することが多いようですが、本当は「お父さん(お母さん)のために行ってほしい」のかも知れません。
ところで、同一化も防衛機制のひとつで、日常でもよく見られます。
たとえば、プロレスやボクシングのファンは試合を観ていると、無意識のうちにお気に入りの選手と同じ動きをしていることがあります。
選手がパンチをもらうと、その部分を痛そうにさすり、試合に勝てば自分のことのように飛び上がって喜びます。これも強者と自分を同一化して劣等感(自分も強くなりたかったが、そうなれなかったという無念の気持ち)から逃れようとしているケースです。
また、ある人のしぐさや話し方、洋服の趣味などが上司や先輩に似てくることがあります。
そのことを指摘しても、本人には自覚がありません。
この場合、上司や先輩はその人にとって憧れの存在ということ…
このような同一化が進行すると、考え方まで似てくることがあります。
ちなみに「模倣」は意識的に行なうのに対し、同一化は無意識のうちに行なわれるという違いがあります。
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