日本にはさまざまなマナーや仕来(しきた)りがあります。
特に食事で「お箸(はし)」を使うときには、たくさんのマナーがあります。
よく小さい時にお箸の使い方が悪かったりすると、母親に怒られたりした経験のある方も多いのではないでしょうか。
そこで今回はお箸のマナーの中でも、「合わせ箸」について、お話したいと思います。
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「合わせ箸」がマナー違反だと言われる理由とは?
箸で取った食べ物をそのまま別の人の箸に渡すことを「合わせ箸」といい、やってはいけないこと(マナー違反)とされています。
子供の頃、それがいけないことだと知らずに箸から箸へ食べ物を渡して、「そんな箸の使い方は縁起が悪いからいけません」と怒られた人もいることでしょう。
なぜ、合わせ箸がいけないのか?…
その理由としては、葬儀で用いられる箸の使い方だからというのが一般的な理解でしょう。
故人を火葬に付した後、親族や友人たちが遺骨を拾い、骨壷に納める「お骨上げ」が行われます。
その際、2人1組となって一つの骨を箸ではさみ、骨壷に入れていきます。
つまり一つのものを2人が箸ではさみあうのは、葬儀を連想させるから禁忌とされているのです。
しかし、それはどうも正確ではないようです。
もともと、食事の作法としてやってはいけないことに合わせ箸がありました。
同じ食べ物を2人が箸ではさむと取り合いをしているように見えますし、箸と箸で受け渡すと食べ物を落としやすいからです。
日本で火葬が一般的になったのは、明治以降のことです。
それまでは土葬が中心でした。
土葬の用地枯渇と衛生的観点から火葬への移行が推進されていったわけですが、焼いたお骨を骨壷に入れる道具としては、箸がもっとも便利でした。
しかし箸は食事に使う、身近なもの…
あまり死のケガレとは結びつけたくありません。
そこで、箸使いの作法で禁忌とされている使い方、つまり通常の食事では用いられない箸使いである合わせ箸でお骨上げを行うようになり
ました。
あえて、やってはいけない箸使いをすることで、食事と火葬が結びつくことを避けようとしたのです。
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