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冠婚葬祭(かんこんそうさい)…
人が生まれてから亡くなるまでの家族的催し全般を指す言葉です。
ご存知の通り、冠婚葬祭は国によって違います。
正確には宗教によって異なると言った方が良いかもしれません。
そこで、ここでは「日本と世界の冠婚葬祭と宗教の関係」について、考察してみたいと思います。
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日本の冠婚葬祭と宗教の関係
冠婚葬祭は、それぞれの宗教によって大きな違いがあります。
結婚式といえば、キリスト教のイメージを持つ人も多いでしょう。
キリスト教の結婚式は、教会で行なわれるのが基本です。
また新郎新婦の双方がキリスト教徒でなければいけないという条件があります。
キリスト教における結婚とは、イエスが人類に注いだ愛を見習い、ふたりが永遠の愛を神に誓うという…
宗教的に大きな意味を持つ儀式なのです。
キリスト教の葬式は、宗派によっても多少違いますが、聖書が朗読され、聖歌(讚美歌)が歌われます。
そのあと、神父ないしは牧師による死者のための祈りがあり、最後に参加者が棺へ献花をするという流れは、おおよそ共通しています。
一方で日本人にとって葬式といえば仏教ですが、もともと葬式は重要視されていませんでした。
開祖であるブッダが死ぬときも、弟子たちに「自分の葬式はしなくていいから、真理を追究しろ。」といったくらいなのです。
仏教で葬式が重視されるようになったのは、仏教がインドから中国に伝わり、そこで儒教の儀式の影響を受けてからのことだとされています。
現在のように、ほとんどの日本人がお寺で葬式をするようになったのは、意外と新しく江戸時代に入ってからのことです。
徳川幕府が「すべての日本人は、どこかの寺に所属しなければならない」という檀家制度を強制し、寺で葬式をさせたのです。
それまでは、村全体でみんなで協力しあってとり行なうようなことが多かったといわれています。
結婚式となれば、葬式以上に本来の仏教では軽視されていました。
何しろブッダ自身が妻子を捨てて、出家しているのですからね。
また、「この世のいっさいは苦である」と考える仏教が、結婚を祝福するはずがなかったのです。
現在の日本には仏前結婚式というものも存在するが、一般的とはいえません。
日本以外の仏教国でも、結婚の際にお寺にお参りにいくといった風習は見られますが、寺が正式な宗教儀式として結婚をとり行なうというのは、かなりめずらしい例なのです。
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イスラム教とヒンドゥー教の冠婚葬祭
さて、イスラム教とヒンドゥー教の冠婚葬祭は、多くの日本人には馴染みが薄いものでしょう。
しかし当然ながら、どちらにも宗教的な伝統にのっとった冠婚葬祭の儀式があります。
イスラム教には、寺院や教会のようなものがありません。
「モスク」と呼ばれる礼拝所はありますが、ただ祈るためだけの場所であり、そのなかに崇拝の対象となるようなものはないのです。
信者が結婚式をあげる場所は、当人たちの自由…
神父や僧侶にあたる存在もいないので、式にはふたりの成人したイスラム教徒が証人として立ち会うことが義務づけられているだけです。
新郎新婦は3通の結婚契約書に証人とともにサインし、1通は新郎が、もう1通は新婦が受けとり、3通目は裁判所に提出されます。
この契約書には、離婚する際に夫が妻に払う慰謝料も書きこまれているのです。
慰謝料の金額は決まっているわけではありませんが、新婦の家柄が立派であったり、新婦の父親が抜け目のない人物だった場合は、莫大な金額になるといいます。
ちなみに、夫のほうが慰謝料を受けとるというケースは存在せず、受けとれるのは妻のほうだけです。
またイスラム教の葬式は、死者の家で行なわれるのが一般的です。
これは、結婚式と同じく、寺院や教会のようなものが存在しないからなのです。
誰か亡くなると、親戚や友人、知人が亡くなった人の家に集まり、死者を悼んでみんなで「コーラン」を詠唱します。
そのあと遺体を洗浄し、白い布で包んで、モスクに運びます。
死者に最後の礼拝をさせてから埋葬するのです。
埋葬は土葬で、埋める際には遺体の顔を聖地メッカの方角に向けてあげるのが正式な方法とされています。
ヒンドゥー教の結婚式のやり方は地方によってさまざまだですが、広く行なわれているのが、新婦が新郎の家の碾臼(ひくうす)を3回踏むという風習です。
臼(うす)は食べものをつくり出す大切な道具であり、新婦がこれを踏むことで、家内安全と多産を祈るのです。
また、聖火が焚かれ、新郎新婦がそれを右回りに7周するというのも、ヒンドゥー教の結婚式では必須の儀式とされています。
慰謝料のとり決めなどからもわかるように、イスラム教の結婚が夫のほうの負担が大きいのに対し、ヒンドゥー教では妻の、正確にいえば妻の実家の負担が非常に大きいものとなっています。
中には新婦の実家から新郎の家に持参金を渡すという習慣があるのです。
結婚式の費用も基本的には新婦の実家負担です。
これが原因で借金苦に陥る家も、インドには多いといいます。
最後にヒンドゥー教の葬式ですが、ヒンドゥー教では、遺体を火葬したあと、聖なる川とされているガンジス川に遺灰を流すことが、死者に対する最大の供養と考えられています。
ただ、幼児や妊婦などが死んだ場合は火葬せず、そのまま水葬されます。
どちらにせよ、ガンジス川に流すというのは、多くの日本人にとっておどろくべき習慣と言えるでしょう。
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