あまり知られていないことですが、実は、ユダヤ教、キリスト教、イスラ教の神は同じものなのです。
キリスト教の新約聖書とイスラム教の聖典コーランは、共にユダヤ教の旧約聖書の世界観を引き継いでいます。
イスラム教は、7世紀にアラビア出身のムハンマド(モハメット)によって創始されました。
ムハンマドは元商人で、中東地域で幅広く交易の仕事に関わり、ユダヤ教やキリスト教の教義にも触れていたのです。
彼は40歳のとき、天使ジブリール(キリスト教での天使ガブリエル)を通じて神の啓示を受けます。
ムハンマドに啓示を与えた神は、イスラム教ではアラーと呼ばれるのですが、これはユダヤ教、キリスト教の神ヤハウェと同じものなのです。
イスラム教では、ムハンマドは、旧約聖書に登場するアダム、ノア、アブラハム、モーセ、そしてイエスに次ぐ「最後の預言者」とされています。
つまり、ユダヤ教の預言者とイエスは、ムハンマドの先輩にあたるのです。
このため、現在のイスラエルにあるユダヤ教の聖地エルサレムは、キリスト教、イスラム教にとっても聖地となっています。
ムハンマドは、それまで中東地域の諸部族が、それぞればらばらに信仰していた民族宗教を否定して「諸君は誰もみなアダムの後裔として平等である」と説きました。
また、イスラム教は偶像崇拝を禁止していますが、これは本来、ユダヤ教とキリスト教にも共通した要素でした。
実際、キリスト教ではイエスの像は大量に作られていますが、唯一神ヤハウェ自体の像が作られることはありません。
このような経緯もあり、イスラム教では本来、ユダヤ教徒とキリスト教徒を「啓典の民」と呼び、異教徒の中でも特に寛大な扱いをしていました。
もっとも、イスラム教ではイエスを「過去の預言者のひとり」としていますが、キリスト教会が主張するように「神の子」とは認めていません。
あえて言えば、ここがキリスト教とイスラム教の最大の違いとも言えるのです。
日本人には、あまり馴染のない話ですが。実は、キリスト教の普及した国であるアメリカでも、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の神は同じものだということを理解していない人が多数だといわれているのです。
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