ご存知のように、キリスト教の開祖のことを一般的にイエス・キリストと呼ぶことも多いかと思います。
けれども、実はキリストというのは人名ではなく、尊称なのです。
意味は「救世主」…
「救世主」というのは、そもそもはユダヤ教の概念で、ヘブライ語ではメシアと呼ばれていました。
それがギリシャ語に翻訳されてクリストス(キリスト)と呼ばれるようになったのです。
つまり、イエス・キリストとは本来、救世主イエスという意味になるのです。
では「救世主」とは、どのような存在なのでしょうか?…
紀元前の古代中東において、ユダヤ民族はエジプトやバビロニアなどの強国に挟まれた弱小民族でした。
一時期は国を作り、栄えたこともありましたが、たびたび周辺国から侵略を受け、最終的に国家としては滅んでしまうのです。
このような歴史的経緯があったことから、次第にユダヤ民族(およびユダヤ教)の中から、「いつの日か国家を再建する人物が現われる」という救世主信仰が生まれました。
そして、イエスが誕生し、宗教活動を始めると、一部の人々はイエスこそが救世主であると考えたのです。
しかし、ユダヤ教の保守派はそれを否定し、ニセ救世主としてイエスを処刑してしまいます。
それでも、イエスを救世主と考える人々は残り、やがてキリスト教が成立すると、イエス・キリストと呼ばれるようになったのです。
そうしてキリスト教における救世主は、ユダヤ民族だけを救うのではなく、全人類を救う存在へと、その意味を変えていったのです。
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