寝言に返事してはダメ…
そんな話を聞いたことはありませんか?
例えば、家族や友人などが眠っていて、ふと言葉らしきものを発したとしましょう。
そこで会話を試みようとして、周囲の人にたしなめられた経験、もしくは試みた人をたしなめた経験がある人も少なくないかと思います。
「寝言に返事してはダメ」…
というジンクスはよく知られていますが、実はこれは元々の形から変化して伝わっているものの一つなのです。
古代の日本人は睡眠中の人間を仮死状態とみなし、その人の魂は体から抜け出ていると考えていました。
その抜け出た魂がどこで何をしているかは諸説あったのです。
寝床の付近で神様と会っているという説や、枕に魂が移っているという説がありました。
「古事記」では崇神(すじん)天皇が眠っている時に、国の神様であるオオモノヌシがやってきて天皇にお告げを与えたという記述があります。
そんな仮死状態の人間が話すということは尋常でない現象だと言えるでしょう。
まして会話すれば、起きている人間も死に近づいてしまう…
という恐れが連想されたのです。
ここから寝言への返事を戒めるようになったと言われています。
ちなみに現代医学では、寝言を話す人間はストレスなどで眠りが浅くなっている状態とされています。
そんな状態の人間に話しかけると、眠りの浅さから覚醒してしまい、ますます寝不足になってしまうのです。
そういう意味では、寝言に返事をしないことも合理性はあると言えるでしょう。
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