体のちょっとした変化が気になってしかたがないという人がいます。
わずかな変調を見つけては、「自分は大病なのではないか?!」と心配し、恐れているのです。
たとえば、季節の変わり目は体調を崩す人が多くなります。
これは、気温の変化が自律神経にストレスを与え、免疫力などが低下するためなのです。
するとカゼをひきやすくなったり、体の思いがけない部位に思いがけない症状が出てきたりもするでしょう。
たいていの人は、よほど重篤な症状でない限り、忙しさにかまけて病院に行かなかったり、忘れてしまいます。
また、受診しようと思いながらも、たいした症状ではないのであまり深刻に悩まず、結局ほったらかしということも多いかと思います。
「季節の変わり目って、なんか調子悪いよね~」なんて、酒の席の話題にすることも…
つまり、ほとんどの人は、些細な変調を病変とは考えないのです。
しかし、この程度の変調にも過剩に反応して「自分は病気ではないか!?」と思いこむのが「病気恐怖症(疾病恐怖症ともいう)」なのです。
強迫神経症の一つである「病気恐怖症」は、病気一般を広く対象とするものの他、ガン、心臟病など、特定の病気に対する恐怖を持つものもあります。
ガンは、日本人の死亡原因のトップにあげられるだけに、たいていの人は、体調に異変があれば「もしかしたら、ガン!?」と不安になるでしょう
しかし、受診して異常がなければ、ガンではないかという不安を抱いたことさえ、すぐに忘れてしまうものです。
ところが、「病気恐怖症」の人は必要以上に病気を恐れるあまり、日常生活に支障をきたしてしまうのです。
病気恐怖症の人は、頻繁に病院で受診し、検査の結果異常がないとわかっても信用できず、別の病院で受診…
いわゆる病院めぐりをくりかえすこともあります。
死に直結する可能性が高いだけに、病気を恐れるのは理解できますが、それならば、突発的な事故を恐れて外出することに恐怖を感じてもよさそうなもの…
しかし、病院めぐりをするために外出をくり返すのは平気なのです。
では、なぜ、病気だけを恐れるのでしょうか?…
心理学的には、なんらかの原因で不安な精神状態に置かれていたときに、たまたま自分の体の変調に気づき、以来、体の変調を過剰に意識するようになったためと考えられています。
病気を疑っているかぎり、本来の不安に目を向けずに済むということですね。
病気恐怖症を改善するには、根底にある不安が何かを探り、自覚して、その不安を弱める手段を講じる必要があります。
恐怖に耐えきれないほどであれば、すぐに専門のカウンセラーに相談するのが良いでしょう。
また、自分は深刻な病気かもしれないと、家族や周囲の人にさかんにアピールする人がいます。
そこには、「自分に関心を示して欲しい」、「自分を大事にして欲しい」、「いたわって欲しい」という心理がはたらいているといえそうです。
周りから見れば些細なことかもしれません…
病気になるのは誰でも同じです。
しかし、当人にとっては本当に苦しいことなのです。
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