イエスは伝道の途中で数々の奇跡を起こし、それによって多くの人々は彼が本物のメシアであると納得したといいます。
イエスの起こした奇跡は主に、病人の治療、悪霊の退治、自然現象・物理法則のコントロール、死者の復活の4つに分類することができます。
そのどれもが、彼自身の超能力や神秘的な呪法などによるものではなく、「神の力の体現」であるため、大げさな儀式や複雑な呪文を必要とせず、ただ簡単な言葉や身振りだけでイエスは奇跡を起こしたとされています。
そんなイエスの奇跡については、「新約聖書」の福音書の中に詳しく記述されています。
一番有名なのは、「ヨハネによる福音書」の2章に記されている「水をぶどう酒に変えた奇跡」でしょう。
あるとき、婚礼に招かれたイエスは、その家の主人が、客に振舞うぶどう酒が足りなくなって困っているのを知ります…
するとイエスは、「水がめに水を入れなさい」と主人に命じました。
主人が言われた通りにして宴席に水がめを運ぶと、いつの間にか水はぶどう酒に変わっていたのです。
イエスの起こした奇跡を知らない宴席の参加者たちは、「普通は最初に良いぶどう酒を飲ませておいて、客が酔っ払ってから悪いぶどう酒を出すものだが、この家はあとから良いぶどう酒を出す」と感嘆したといいます。
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この「水をぶどう酒に変えた奇跡」は奇跡のレベルとしては小さなものですが、イエスはもっと大掛かりな奇跡も起こしたとされているのです。
なんとイエスは、5つのパンと2匹の魚だけで、5千人の胃袋を満たしたのです。
その奇跡は「マタイによる福音書」の14章に記されています。
あるとき、イエスは5千人の信者を前にして説法を行なっていました。
やがて食事の時間となりましたが、その場にはわずかな食料しかなかったのです。
そこでイエスが天に祈ると、食料は次々と増え、すべての信者の空腹が満たされたといいます。
ちなみに、食事前にパンは5つしかなかったにもかかわらず、すべての信者が食べ終えたあと、パン屑はかご12杯分にもなったとされています。
この他にもイエスは、水の上を歩いたり、激しい嵐をおさめたり、悪霊を追い払ったり、手で触れただけで重病を治したり、盲人の目を見えるようにしたりと、様々な奇跡を起こしたと福音書には記されています。
中でも特筆すべきは死者の復活にまつわる奇跡でしょうか。
病気で死んだ少女を復活させたり、死んだ親戚を復活させたりと、イエスはたびたび死者を甦らせているのです。
それも、ただ「起きなさい」とか「墓から出てきなさい」といった簡単な言葉をかけるだけで、死者は復活しているのです。
そう考えると、処刑されたイエスが3日後に復活したとされる奇跡も、彼にとっては特別なことでもなんでもなかったのかもしれません。
もっとも、イエスもときに変な奇跡を起こすこともあります。
「マタイによる福音書」の21章によれば、伝道の途中に空腹を覚えたイエスは道端にイチジクの木が生えているのに気づき、実を食べようと近づいきました。
しかし、木には実がなっておらず、それを見たイエスが「二度とおまえに実はならないだろう」と言うと、たちまちイチジクは枯れてしまったといいます。
単なる八つ当たりとしか思えない奇跡もあるようです。
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