交渉はある意味、戦いです。
絶対にこの交渉には勝ちたい、また今回のプレゼンの相手はいつも絶対に自分の意見を曲げないめんどくさいタイプだからどうしよう….。
プレゼンでは、自分自身の心理状況や事前の準備が大きくものを言います。
ここでは、決して相手に言いくるめられず、勝つための交渉力を身につける方法をお伝えします。
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どんな相手にも勝つ交渉力を身につけるには。
打ち合わせやプレゼンで自分の意思を相手にはっきり伝えられるかどうかで仕事の流れは大きく変わってきます。
そんなコミュニケーションの場でモノをいうのが、強気で相手を説得する態度です。
弱々しく頼りなげにしゃべる人より、大きな声で自信タップリに主張を押し通す人のほうが、少なくとも第一印象は記憶に残るし、信頼感も伝わってきます。
しかし、態度が強気だからといって、言っていることが正しいとは限りません。
自信満々で自分は正しいと思っている人に、それは間違いだと告げるのはかなりのエネルギーを要します。
切り出すタイミングを探しているうちに結局言い出せないまま、という体験に心あたりがあるでしょう。
明らかな間違いであってもそうなのだから、これが対立する利害を主張しあう場となればいっそうむずかしいのは当然の話です。
たいていの人は波風を立てないことを好むが、強気な態度で押し通すことが自分のビジネススタイルとなっている人には通用しません。
こういう人は普段から自分の主張が通ってしまう、いわば勝ちグセがついているだけにいっそうやっかいです。
誰かが自分の意見に異を唱えれば、あたかも挑戦されたかのように見なして全力で反論してきます。
強気の相手にガンガン押し込まれるとそのまま流されてしまうのは、心の中に何らかの迷いが生じているからです。
自分の意見が絶対的に正しいという確信があれば、「納得できない」という思いが確固たるモチベーションとして味方してくれます。
たとえば、自分が根拠にしている資料は、相手のそれよりも最新版だという裏づけがあるような場合です。
しかし自分の確信が揺らぎ始めると、そこに相手の主張を受け入れるスキが生じてきます。
「もしかすると自分が見たものより新しい数字が発表されているかもしれない。だとすれば、そこを相手に攻め込まれてはまずい….」。
この状態は相手の立場で考えてみると、しめたものです。
強気の態度で勝ち続けてきた人にとって、防戦に回った相手を押しきるのはもっとも簡単なことです。
できない人から、できる人へ変身!
では、いったいどうすれば「守り」を捨てて「攻め」に転じることができるのでしょうか。
ここでいう「攻めの心理」とは、自分がもっている力を一〇〇%発揮することに意識が向かっている積極的な心理のことです。
反対に「守りの心理」とは、結果やミスにばかり意識が向かっている消極的な心理を指します。
「攻めの心理」を養うトレーニングには、次のような方法があります。
小さくまとまってしまいがちな自分の態度や仕事ぶりを、普段より大きくするよう心がけるのです。
たとえば、仕事の用件を話すときに普段より大きな声を出すといったシンプルな方法でも効果的です。
たったそれだけのことでも自分の気持ちが大きくなって、交渉する力を100%出せる状態に気持ちを高めてくれます。
また当面の用件を終えたらすぐに話を切りあげるのではなく、たとえば将来のビジネスにまで話を広げてみる。
これも自分のビジネススタイルのスケールを大きくするためのポイントです。こうした取り組みを通じて、結果やミスを気にするあまり小さくまとまってしまいがちな自分のメンタリティ、つまり「守りの心理」に陥ることを防ぐことができます。
そして同時に、つねに100%を追求するポジティブなメンタリティを養うことが可能になるのです。そして、次に必要なのは実際に相手と接するうえでのテクニックです。
たとえば、常に強気で負け知らず、というクライアントに同じ調子で口論を挑めば、どちらの主張が正しいか間違いか以前に、相手はヘソを曲げて気分を害してしまいます。
口論では勝っても結果的にビジネスとして負けたことにしかなりません。したがって、まず頭を切り替えなくてはいけないのは、攻めの姿勢とは何も強気で押すばかりが能ではないということです。
相手の感情の起伏を読み、互いに納得できる着陸点までうまく誘導してあげます。
こうした作戦、つまりテクニックが実際の交渉の現場では求められています。そこでわかりやすい方法は、まず自分のビジネスにとってもっとも譲れない重要な部分は何かを見極めることです。
そしてそれ以外の部分は、わざと相手の得点にさせてやることです。
つまり交渉に際して、譲ってもいい部分と譲れない部分をあらかじめ用意しておく。
そして譲っていい「捨て」の部分を相手に拾わせているうちに、「本質」をきっちり自分の得点にしてしまうわけです。勝ちグセがついている強気な人は、とかく失点を嫌うものです。
だから相手の不機嫌さがあらわになる前に、あらかじめ準備した譲っていい部分で相手に勝たせてあげる。
相手にとってこれは予定調和の範囲だから、また得点したという安心から緊張感に緩みが生じます。
そのとき、さらに捨ての部分を連発し、相手の緊張感の緩みをいっそう広げてやっても良いでしょう。
そして相手を勝った気にさせたまま、さりげなく本質の部分でYESといわせるのです。たとえば、相手と合意しなくてはいけない案件がABCDの四件あったとしましょう。
譲ってもいいのはAとCとD、譲れないのはBです。
まずAではこちらも渋って相手の闘争心をかき立てます。
次にCとDでアッサリ譲れば、相手はこっちが自分のペースに乗ったと思うはずです。
そこでCとDの引き換えとしてBを切り出します。
ここでまた相手が渋れば、最初のAを譲歩してあげます。
すると相手の心の中では、二勝二敗より三勝一敗を選びたいという欲が働きます。
言い換えると、自分の勝ちを確実にしたいという守りの意識に転じるのです。
ここでまた「うちとしてもせめてこれくらいは・・・・」という低姿勢で訴えれば、四勝〇敗の完全試合でなくても、一勝くらい譲ってやってもいいという余裕を引き出せます。もちろん、実際に交渉がどう展開するかはケースバイケース。
しかしどんな場合でも通用するポイントは、まず相手を勝った気にさせるように交渉の順番を考えることです。
次にそこで生じる余裕、安心感、緊張の弛緩を利用して、本質をさりげなく奪いとることです。反対にやってはいけないのは、相手をムキにさせることです。
この一線を越えてしまうと、相手は全勝でないと納得できない、という事態を招いてしまいます。
その場合は話をいったん思いきり遠くへそらす、あるいは結論を先延ばしにする、といった方法で仕切り直しを図りましょう。
強気の相手にも主張を通す交渉テクニック
⚫︎「攻めの心理」を育てて一〇〇%の力を出す方向に意識を集中させましょう。
⚫︎譲歩できる部分を用意して、相手の緊張感のすきをつきましょう。
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