よく言われる話に「正月に縁起の良い夢が見られると、その年は幸運に恵まれる」…
というものがあります。
その代表例としてよく知られているのは「一富士二鷹三茄子」ですね。
この三つの縁起が良いとされる理由は、高いものを集めたから(標高の高い富士山、高く空を飛ぶ鷹、初物の茄子の高値)…
徳川家康が特にこの三つを好んだから…
富士は「無事」、鷹は「高い」、茄子は「成す」という縁起の良い掛詞(かけことば)を集めたから…
などなどと諸説あります。
しかし、茄子の先にも続きがあるのはご存じでしょうか?…
19世紀の前半、備前福山の儒学者であった太田全斎(おおたぜんさい)は、「俚言集覧(りげんしゃうらん)」という書物をまとめています。
内容は俗語・俗諺を集めて辞書式に整理したもので、同書によれば「一富士二鷹三茄子」の後には、「四扇五煙草六座頭」が続くと記述されています。
これは「一富士二鷹三茄子」と対応関係にあるとされているのです。
富士と扇は見た目が末広がりで縁起が良い…
鷹と煙草の煙は上に昇るので運気上昇を示し…
茄子と座頭は毛が無い(座頭は剃髪している)のとケガがないのを掛けて家内安全を示すのです。
また逆に夢は逆夢として、葬式、火事、便所など普段は忌むものを初夢に見ると縁起が良いという風習もありました。
昔の人の夢にかける思いが垣間見える言い伝えだったのです。
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