西暦593年、聖徳太子が建立した四天王寺は、施薬院(せやくいん)を併せ持っていました。
施薬院は様々な薬草を植え、怪我や病気で苦しむ人たちを救うために作った、日本最古の社会福祉施設です。
鎌倉時代には、五代執権・北条時頼から寺領を寄進されました。
この施薬院の名は「勝鬘院(しょうまんいん)」といいます。
聖徳太子がここで勝鬘経というお経の講義を行ったためです。
しかし、本堂に密教の神・愛染明王(あいぜんみょうおう)が祀られていることから、いつしか愛染堂と呼ばれるようになりました。
愛染明王は、煩悩(ぼんのう・愛欲、欲望、執着)を菩提心(ぼだいしん・悟りの境地)に導く力をを持つ仏様です。
真っ赤な体に三目六臂(さんもくろっぴ・三つの目に六つの腕)を持ち、忿怒(ふんぬ)の表情をしています。
それは諸々の悪を追い返すためです。
不動明王と並んで、愛染明王は家内安全、必勝祈願とさまざまな人から支持を受けていますが、特に良縁成就、夫婦和合の神様として有名で、境内にある愛染めの霊水で水を飲めば、願いは叶えられると言われています。
また、この愛染堂で毎年夏に開かれているのが「愛染まつり」です。
この愛染まつりは、聖徳太子が開いた日本最古の夏祭りといわれています。
古来、6月30日に夏に負けないように願いを込めて、「夏越祓」を行っていました。
愛染まつりはその風習を受け継いで聖徳太子が開いたといわれているのです。
愛染まつりの見どころは、初日の6月30日に行われる「宝恵駕籠(ほえかご)パレード」です。
毎年数百人の中から選ばれた愛染娘が「愛染さんじゃぁ、ほっ、えっ、かぁご」という独特の掛け声とともに街を練り歩きます。
天神祭、住吉祭とならぶ大阪三大夏祭りの一つに数えられ、大阪の夏祭りは「愛染さんではじまり、住吉さんで終わる」ことから、「あい(愛)、すみ(住)みません。」の語源だともいわれているのです。
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