神宮(伊勢神宮)を本宗とし、日本各地の神社を包括する宗教法人…
「神社本庁(じんじゃほんちょう)」をご存知でしょうか?
約8万社ある日本の神社のうち主要なものなど7万9千社以上が加盟している巨大組織なのですが、意外と一般には知られていません。
今回は神社本庁とはどんなところ?…と題して、神社本庁という組織やその成り立ちについてご紹介したいと思います。
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神社本庁とはどんなところ?
現在、全国の神社を統括しているのは、神社本庁という組織です。
本庁という名から公的機関のように思われるかもしれませんが、形式的には宗教法人(しゅうきょうほうじん)の一つです。
神社本庁が成立したのは、第二次世界大戦後のことですが、それ以前の神社組織はどのようなものだったのでしょうか?…
実は明治から第二次大戦の敗戦まで、神社は国家神道として政治と強い関係を築いていました。
たとえば、すべての日本国民はいずれかの神社の氏子として登録されていたように、国民を管理する制度としても利用されていたのです。
神社は、国によって明確な格付けがなされ、国が経営する神社を官社、それ以外を諸社と分けられていました。
しかし戦後、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)は国家と神道の完全な分離を求めました。
神道指令を発令し、神社は国の管理から引き離されます。
これによって国家神道は完全に崩壊し、神社の神職たちは、国や地方の准公務員として保証されてきた身を失うこととなったのです。
このピンチに全国の神社関係者が結束して誕生したのが、神社本庁だったのです。
母体となったのは、戦前からの組織である大日本神祇会(だいにほんじんぎかい)、皇典講究所、神宮奉献会(じんぐうほうさいかい)という民間の神社関係団体で、全国の約8万の神社が参加して立ち上がりました。
ちなみに神社本庁にすべての神社が加盟しているわけではなく、たとえば出雲大社や靖国神社、日光東照宮、伏見稲荷大社などは加盟していません。
しかし、対立関係にあるわけではなく、基本的には友好関係を築いているようです。
一宗教法人とはいえ、全国の八万もの神社を傘下に置く巨大組織ですから、少なからぬ政治的影響力を持っています。
神道政治連盟などの組織を通じて、自民党をはじめとした一部の保守系議員と強いパイプを持ち、政治活動を行っています。
また、神職につく者の資格を与えているのも神社本庁です。
神職につくには、神道学科のある國學院大學(こくがくいんだいがく)か皇學館大学(こうがっかんだいがく)で単位を取得する、神社本庁で行われる階位検定講習会に参加するなどの方法がありますが、いずれにしても狭き門です。
実際に大学の神道学科に入学したり、階位検定講習会に参加したりできるのは、家業が神社で、そのうち神職を継ぐ必要に迫られている人たちがほとんどなのです。
神道や神職に興味があっても神職につくことができるのは、ほんの一握りしかいないのです。
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