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子どもの頃に大人から良くい言われていました。
「霊柩車を見たら親指隠しなさい」と。
意味がわからず、ただやらないと少し怖い気がするし…と、何も考えずに子どもの頃はやっていましたが…
果たして、霊柩車を見たら親指隠す意味とは?とういったものなのでしょうか?
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霊柩車を見たら親指隠す意味とは?
「霊柩車(れいきゅうしゃ)を見たら親指を隠せ」…
おそらく、この言葉は誰もが一度は聞いたことがあるでしょう。
迷信だとはわかりながら、大人になった今でも、つい親指を握りこんでしまう人もいるのではないでしょうか。
霊柩車を見て親指を隠すのは、「親の死に目にあえない」、「親が早死にする」と考えられているからです。
「霊柩車」なので比較的新しい言い伝えと考えがちですが、昔は「葬列に出会ったら、親指を隠せ」といわれていたので、古くから伝わる言い伝えであることがわかります。
そもそも死は、不浄なものの中でも、とくにケガレが強く、忌み嫌われてきました。
ケガレに取りつかれると、「黄泉の国」に連れて行かれます。
「古事記」の伊奘諾(いざなぎ)・伊奘冉(いざなみ)の伝説でわかるように、黄泉の国は魔物に支配された恐ろしい国ですから、そんなところに連れて行かれたくはないでしょう。
そのため人々は死とそれにつながるものを忌避すべき対象としたのです。
ですが、なぜ親指を隠さなければならないのでしょうか?…
江戸時代の国学者、小山田与清(おやまだともきよ)が書いた「松屋筆記」は、長い年月の中で読んだ書物の中から興味を引いた言葉を選び評論を付したものですが、その中に親指を隠す理由が述べられた記事があるそうです。
ケガレに出会ったとき、親指を隠さなければいけないのは、親指が霊的なものの出入り口だと考えられていたからです。
親指の爪の間から魂魄が出入りするため、恐ろしいことがあったら親指を握りこんで隠せというのです。
魂魄とは、中国の道教の用語で、魂や体を動かす気といったものを指します。
要するに、親指は霊的なものが出入りする場所で、ケガレが入り込む弱点ともなるから、ケガレそうなときは中に握りこんで隠せというわけです。
「親の死に目にあえない」とか「親が早死にする」というのは、ケガレや死霊の恐ろしさを知らない未熟な者への戒めとして、もっとも効果的な災いだから、そう言われたのでしょう。
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まとめ
最近、神輿のようなものを乗せた宮型の霊柩車を見かけなくなったと思いませんか?
実は、宮型霊柩車はあまり使われなくなってしまったのです。
あれだけきらびやかで目立つと、すぐに葬儀があったとわかります。
やはり、葬儀は縁起が悪いと考える人は多いようで、斎場や火葬場周辺の住民からクレームが入るのだそうです。
そのため、一見それとはわかりにくいパン型の霊柩車が増えているのです。
また、葬儀費用として考えても、宮型霊柩車はバン型霊柩車の何倍も費用がかかります。
バブル崩壊以降、少しでも費用を抑えたいという要望が強くバン型霊柩車を選択する割合が大きくなっているといいます。
そうなると、「お、霊柩車が来たぞ」といって、親指を隠す機会はもうあまりないのかもしれません。
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