火星を探査していたバイキグ1号が1976年7月25日に撮影したある写真が、大反響を呼んだことがありました。
なんと、巨大な人面岩(ピラミッド)が写っていたというのです。
その人面岩は縦3キロ、横1.5キロという巨大なもので、「これは人工物(ピラミッド)に違いない」、「古代火星人の遺跡で、私たちへのメッセージが隠されている」など、様々な憶測を呼び、アメリカではこの人面岩を題材にして「ミッション・トゥ・マーズ」という映画が作られたほどでした。
NASAは「光の加減で偶然顔のように見えただけ」と公式発表しましたが、ほとんどの人は信じませんでした。
やむを得ずNASAは、1996年に打ち上げたマーズ・グローバル・サーベイヤーに特別ミッションを与えました。
人面岩の真上を通過させ、高解像度の写真を撮影することにしたのです。
その結果、NASAが主張してきた通り、「偶然顔のように見えただけ」ということが証明されました。
これ以降も「鯉の頭に人の顔が浮き出ている」、「トーストの焦げ目がイエス・キリストの顔に見える」、「窓に聖母マリアの像が浮き上がった」などのニュースが話題になったことがありますが、このように対象物が実際とは異なるものとして知覚されることを「パレイドリア」
と言います。
これは錯視の一種で、対象物が本当は鯉やトースト、窓ガラスなどだということはわかっていますが、一度そのように見えてしまうと、なかなかその印象を拭えません。
月の影の模様がウサギに見えるのは、最も有名なパレイドリアでしょう。
ただし、これは日常的に経験する「パレイドリア」の場合で、高熱を発したときやLSDなどを服用して薬物酩酊状態のとき、アルコール依存症が進行して壁紙や天井のシミが小動物や虫、人などに見える場合は、それが錯視とは認識できず、恐怖感情に襲われることもあります。
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