天真に任す…
この言葉の意味をご存知でしょうか。
天真に任す…とは、「てんしんにまかす」と読みます。
曹洞宗の禅僧であった良寛和尚は、40歳のとき越後国上山の五合庵に入り、20年近く独居を続けました。
良寛和尚は、生涯に多くの漢詩や和歌を残しましたが、「天真に任す」は「生涯懶立身」で知られる詩の中の言葉なのです。
それではより詳しくみていきましょう。
名前:良寛(りょうかん)
生年月日:1758年11月2日~1831年2月18日
出身地:越後国
宗派:曹洞宗
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天真に任す…自然のままに身をまかす
良寛和尚ほど、時代を超えて多くの人に愛されてきた禅僧はいないのではないでしょうか。
権威から離れ、世間の評価や体裁も気にせず、自由無碍(じゆうむげ)、無欲恬淡(むよくてんたん)とした生き方に憧れる人も多いようです。
子供たちとよく手まりで遊んだという逸話が残っていますが、禅の道をひたすらに厳しく歩んだ人でもありました。
「天真に任す」とは次の詩にあり、すべてのこだわりを捨て、流れる水のように、空の雲のように、ただ自然の道理に身を任せようということです。
生涯懶立身 騰騰任天真・・・生涯身を立つるこ懶(ものう)く、騰騰(とうとう)天真に任す
囊中三升米 炉辺一束薪・・・囊(ふくろ)には三升の米、炉辺(ろべ)には一束の薪(たきぎ)
誰問迷悟跡 何知名利塵・・・誰か問わん迷悟(めいご)の跡、なんぞ知らん名利(みょうり)の塵(ちり)
私は生涯、身を立て出世することなど面倒で興味もなく、ただ自然の道理に身を任せて生きている…
袋に三升の米と少しの薪があれば、もうそれでよい…
迷いだの悟りだのと私にはもうどうでもよく、まして名誉や利益などつまらないものにはかかわりがない…
いかがでしょうか?
良寛のごとくとは言わないまでも、せめて私利私欲に振りまわされない、型にもはまらない良寛の生き方をこころざしたいものです。
また良寛は、型に拘らない率直な表現を良しとし、多くの歌を残しました。
その一部をご紹介します。
・この宮の木(こ)したに子供等と遊ぶ夕日は暮れずともよし
・風きよし月はさやけしいざともに踊り明かさむ老いのなごりに
・歌もよまむ手毬もつかむ野にもいでむ心ひとつを定めかねつも
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