こんなことわざを聞いたことはありませんか?…
「ほうきを踏んではいけない」、「妊婦はほうきをまたいではいけない」と。
聞いたことがないという方も、聞いたことはあるけど意味を知らない、という方もこの機会に意味を知っておきませんか?
それではこのことわざについてお話したいと思います。
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ほうきを踏んではいけない…と言われるワケとは?
「ほうきを踏んではいけない」、「妊婦はほうきをまたいではいけない」…
おじいちゃんやおばあちゃんからこんなことを聞いたことはないでしょうか?
今でこそ、ほうきやちりとりは単なる掃除の道具としか見られていませんが、かつては神の宿る神聖な道具とみなされていました。
ほうきを逆さに立てると、オハケ(長い棒の先にシデの枝をつけたもので、神霊の降りる依代とされる)に似ています。
そのため、長居の客に早く帰ってほしいときは逆さぼうきを立てるといわれていました。
オハケに神霊が降臨する歳事の最中だから、無縁のものは神意によって退散させられると考えられていたのです。
ほうきに宿る箒神(ほうきがみ)は、出産に立ち会う産神(うぷがみ)でもあります。
「箒神が来なければ出産ははじまらない」という言い伝えがあるように、箒神は産屋にやってきてお産の手伝いをしてくれます。
そして、生まれ落ちた子供に霊魂をもたらすのです。
だから、ほうきを乱暴に扱うと難産になるとされ、またいだりしてはいけないといわれるようになったのです。
ちりとりは、ゴミをとるものであると同時に、穀物にまじった塵(ちり)を落としたり、米などの穀物をすくう道具として使われました。
ものをすくい取る道具であることから、神霊をかき寄せてすくうと考えられていたようです。
神様にお供えをする器として、ちりとりを利用する風習も広く見られます。
また、死んだ人をよみがえらせる「魂呼(たまよ)び」という呪術にも、ちりとりが用いられています。
すくい取る、拾い上げるというちりとりの形態が霊魂をもすくい、現実に戻すと考えられたのでしょう。
日本の昔の人々は、こんなものにまで神が宿り、魂が宿ると考え、ものや道具を大事に使うことを伝えてきたのです。
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