隻手音声(せきしゅのおんじょう)という言葉はご存知でしょうか?
この機会に声なき声…隻手音声の意味を学びましょう。
声なき声…隻手音声の意味とは?
「両掌(りょうしょう)相打って音声あり、隻手に何の音声かある」という白隠の有名な公案です。
隻手とは片手のこと…
公案とは修行者が悟りを開くために課題として与えられる問題のことです。
名前:白隠 慧鶴(はくいん えかく)
生誕:1686年1月19日~1769年1月18日
生地:駿河国
幼名:岩次郎
宗派:臨済宗
著作:夜船閑話、坐禅和讃
「両手を打てば音が響くが、片手ではどんな音がするか?」…
打てない片手の音をどう聴くかという江戸中期の禅僧、白隠(白隠慧鶴)の有名な公案です。
公案は修行者を思慮分別や日常的な思考を超えた世界に導くためのもので、いわば謎かけ…
「隻手音声」はその代表的な例なのです。
これを頭で考えたり、耳で聴こうとしてもだめです。
悟りの前段階として「疑団(ぎだん)」(頭だけ疑うのではなく全身が疑いの塊になる)という状態がありますが、理屈や分別が尽き果て、言葉さえ出ない疑団の境地に入ったとき、ただひたむきに「行住坐臥」の修行に打ち込めば、忽然(こつぜん)として無明(むみょう)の壁が破られ、光が見えてくる(悟りが開く)と白隠は言っています。
「隻手音声」に何か意味のある答えを出そうとしても無駄でしょう。
ただ体中を「???」で埋め尽くすだけでもいいのです。
世の中には言葉では説明できないことがたくさんあります。
あなたに向かって、無言で何かを訴えつづけている人だっているかもしれません。
その声なき声は、耳ではなく、全身全霊でしか聴き取ることができないのです。
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